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社員研修と自己啓発セミナーの危険性について

これまで、自分が体験した自己啓発セミナーのリアルな報告を書いた。
ごく短期間に詰め込み式で行われざるを得ない研修中の自己啓発セミナーは、他のサイトで書かれている通り、”非常に危険”である。

結局、社員研修の名目で行われる自己啓発セミナーの危険性は以下に集約されると思われる。

1:職場の人間関係の破壊
2:自発的に行動し変革する人間の飼い慣らし
3:洗脳が失敗した場合、経営者、会社への不信感が残る

実際に感じたことだが、研修内容に批判や疑いを持つ自分は、「この中で浮いているのではないか?」「自分は劣っているのではないか」と感じるとともに、「洗脳を受け入れてしまっているメンバーがエイリアンに見える」「このような洗脳教育を施す経営者は何を考えているんだ」など、否定に次ぐ否定が次々に沸いてきてしまう。

セミナー中の私は、(ポジティブに自分をさらけ出したり、他人の悪口を平気で言ってみたりができない)恐らく”劣った存在”として、他の参加者に優越感を提供していたはずだ。しかし、私は彼らに対してこそ心の中で侮蔑していた。
「彼らはムードに従って何でもできる自分が”変化に強い””ポジティブな存在”と思っているが、そんなものは今、この場だけの気分の問題にすぎない」
できの良い、優秀だと思いたい人ほど、こういった状況でも”自分を認めて欲しい”と頑張って順応してしまう。
例えば、「これは洗脳である。危険な結果が出るかもしれない」と私が参加者に打ち明けた時のこと、(多分、洗脳覚めやらぬ)その参加者は「自分は自己啓発セミナーを知っているが、たとえ洗脳だったとしても自分は大丈夫だ」「考えすぎだ」「洗脳に慣れてないだけだ。大したことない」などと優越感を示した。
「不条理な環境への過剰な適応こそが洗脳の効果なんだよーー」と私は思った。
「有能だと思われたいという、他者の評価に依存した空虚な自尊心が危険なんだよー」とも。

日ごろ一緒に仕事をしている人間達が、お互いの悪い点を嬉々として言い合う様は、かなり異常である。
言われたほうは「自分の糧となる大事なことを教えてもらっている」とありがたがって拝受する。(その実、物凄くストレスなりダメージを受けているはずなのだが)

洗脳が仮に上手く行き、マネージャ諸君がすべて従順ながむしゃら君になったとしても問題は残る。
実際に、経営戦略や仕事の質に対して、何も変わっていないのであるから、結果が如実に出るはずがない。
そうすると、「自分の選択の結果であった」とただただ自己批判に陥ってしまう結果になるのではないか。
自発的に行動し、組織文化を変革するとのビジョンとは程遠い。(笑)

これまでの人間関係や仕事の連携を阻害してしまう原因となってしまう、または洗脳によって何かを履き違えた人間達が妙な教義を吹き込まれた状態で、さらに被害を他の人間に伝えていってしまう。
人間関係を捻じ曲げてしまう。
これが一番の問題なのではないかと思えてしまう。