Fantom X6のシンセサイザーの顔については、以前の記事で書いたので、次は、デジタル世代の凄いシンセとしての顔に迫ってみたい。
サンプラー、オーディオ録音機能などなどの部分について。
Fantom X6のハードウェアは、かなり充実している。
ソフトウェアの出来は、ちょっと納得が行かない部分があるんだけど、PCの進化と歩調を合わせた”ハードウェアの拡張性”は「凄い」と言うべき部分だと思う。
■ハードウェアの拡張性
・PCMCIA
PCMCIAカード(TypeⅡ)で1GBまでのコンパクトフラッシュメモリを使える。これは素材のセーブ先。
今だと、コンパクトフラッシュ1GBとアダプタで2500円くらい。これはまず買っておかないと。
・DIMM
168PinのDIMM(PC100、133)で512MBのサンプリング用メモリを追加できる。
そもそも32MBってのが少なすぎるからダメなんだけど。512MBを足すと、ステレオサンプリングで50分程度まで行けるらしい。オーディオ録音もできるのかな?(まだ試してはいない)
DIMMは海外メーカーの安いやつで5500円位。これは互換性の問題があるのかどうかわからないけど、買うべき。
・USB(1.1だけど)
USBでMassStorageモードができるので、PCのドライブとしてアタッチして、ファイルを送受信できる。直接、SSDとかのUSBストレージデバイスにミックスダウンできると助かるんだけどね。いや、できないと困る。
・・・と半導体メモリー関係の拡張性は、素晴らしいと思う。(製品寿命とか、サードパーティの部品を使えるという意味で)
■Audio Track Expansion Kit
Fantom X6を付加価値の高いシンセサイザーにしているのが、このAudioTrackExpansionという機能。これが付いていると付いていないではFantom Xの評価が全く変わってしまうと思う。
・MIDI16トラック、サンプラーとオーディオ8トラックを同等に扱える
・シーケンスのテンポを変えてもオーディオ側が追従する
・Fantom Xだけでトラックダウンをしてwavに書き出せる
まだ実際に使っていないので、何とも言えない部分はあるが、スペック(売り文句)だけ眺めると、これは野心的で凄いことだと思う。その後のワークステーションシンセサイザーが、Cubaseだとかを前提にして、DAW機能を削減していく方向になっているのとは逆に、「自分こそがDAWだ!」と言わんばかりの壮大なチャレンジ。
2004年という時代はそうだったのかもしれないね。
■やってみたいこと
V-DrumやギターをMIDIと重ねてみたい。
ギターなんかは、クリーンとリフとソロをそれぞれ別録りしたいし、ドラムだって本当は継ぎはぎしたい。(ツーバスで長い時間正確に踏み続けるって結構重労働。5分の曲のエンディング踏みっぱなし展開は地獄)
一曲を集中して何度も弾くのは結構難しく、後から聴いて、ミスが許せなかったりするんだけど、その許せなさが、演奏時の強烈なプレッシャーになっている。指が冷たく、動かなくなり、よりミスを誘発する。
レコーダを操作して、シーケンサーをスタートして、テンポを取って演奏をする(間違えないように注意を払いながら)で、リラックスしたまともな演奏ができるわけないと思う。(演奏者と録音エンジニアは別であるべき・・と思う。)
■懸念
しかし、一部で言われているように(どこだ?)オーディオ関係の機能を扱うには、バスも低速だし、USBは1.1だし、メモリ容量にも制限が大きいしで、昨今のPCと比較してしまうとそれほど贅沢なことはできないし、待ち時間が結構多いと聞く。(それはそれでイライラするよなぁ。直感的に扱えるのがオーディオ信号のいいところなのに)
自分としては、ハードディスクレコーダのVS880も持っているので、デジタルオーディオを扱うならそちらで逃げる手はある。(VSのハードウェアが壊れなければ)