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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

電子楽器の進化って?

ヤフオクルサンチマンを書いていたら、電子楽器の進化について、ああだこうだと記したくなってきた。

まだまだ昔話含め、グダグダと語る。ほっといて欲しい。^_^

 

言えるのは、今って凄く恵まれた、いい環境だと言うこと。いつの時代のどんなシンセにも巡り合うことが出来る。

 

過去からの電子楽器との付き合いから、見えてきたこととは!?

 

◾️2000年以前

電子楽器のこの35年余り(デジタルになってから)の進化ってなんなんだろう。

新しい程良いのかな?と。

 

・輝かしきアナログ全盛の時代

1978年から1984年まではYMOの活動期間でもあり、冨田勲先生がシンセの壁でクラシック音楽を再現していた。喜多郎氏のシルクロードもこの頃だったのかな。ほぼアナログ全盛。1番シンセサイザーが輝いていたように見える。シーケンシャルサーキット、アープ、ムーグ、オーバーハイム

 

シンセサイザーは所有するものではなくて、憧れるモノだった。シンセサイザーに首ったけ。^_^

 

・エレポップ勃興

その後のハワードジョーンズもDX7のイメージで出てきたけど、実はJupiterが特徴だったりして。デジタルといえばDX7のキラキラベル、バキバキベースのイメージだが、これらの音とアナログの存在感の組み合わせが未来チックでもあり、ワクワクしたね。

 

・デジタルシンセサイザー民主化の時代

1985年位から90年代のシンセサイザーのデジタル過渡期の期間は、今の耳からすると本当に音がつまらないなぁ。この時代のシンセで、今でも欲しいモノって無い。DとかMとかSYとかαJunoとか。あ。実名出しちゃった。^_^

新しいものほど音が良くなっていったけど、U20が出て、「ああ、シンセってPCMの品質で進んでいくんだな」と決定的になった。

その後は、自分で音を録りたいって事でサンプラーなる録音機器がシンセの一機能にもなった。

エポックメイキングな出来事と言えば、JD800。多分音よりも、あの見た目のインパクトが大きかった。贅沢な作り。バブルだったのかや。

おお!デジタルなのにアナログ!と少し面白くなって、その後、トレンドは本格的なアナログモデリングに突入した(ようだ)。

90年は808STATEで興奮した。

95年はプロディジーだったな。

テクノポップ→エレポップ→ハウス→テクノ→エレクトリックボディ→EDM?

アナログへの回帰が顕著だったね。

アナログシンセでアナログのエフェクターを通して、アンプから音を出し、サンプリングするみたいな手法で。空気感かな。

電気グルーブはデビューアルバムからアナログでパンクみたいにテクノをやっていたけど。

 

 

◾️2000年以降 好きなスタイルを自由に選べる時代

 

2000年以降はちょっと趣が違う。音源形式や音質は既に行き着くところに行き着いたというか、デジタルでアナログを聴いてもわからないレベルで再現できるようになり、アルペジエータもサンプリングもデジタルオーディオインタフェースも。なんでも出来るようになった。その後は拡大再生産。いかに目新しく見せるかって言う感じに見える。トランスかEDMかエレクトロか知らないけど。昔テクノとかエレポップと呼んでいた電子音楽が細分化して、お互いを差別化する中で、シンセもスタイルになったように見える。良く知らないけど。

 

電子楽器って、2000年以降は基本性能が余り変わっていないんじゃないか?。サンプリング周波数はとっくの昔に44.1、48になったし、ビット数だって16だか24で頭打ち。オーディオ回路、アナログモデリング、マルチエフェクトももうこれ以上必要ですか?という感じで。

デジタルオーディオ技術が円熟に到達した2000年のプロの耳で、良い音だと判断して製品化したんだから、悪い品質な訳がなく、要は好みの問題、感性の問題になってるんじゃないか?とは個人的な感想。

 

昔はオーディオ的な意味で良い音ってのは絶対にあったと思うんだけど、44.1kHz、16ビットでサンプリングされたPCM音源以降は、良い音の定義が、その時々の流行りの音楽に近い音が出せるかどうか?に変わっていったんじゃないか。

 

2000年に発売されたMS2000Bと2018年に発売されたKROSS2で音の良さは(好み)はMS2000Bの方だし、比較的新しいMX61よりもMOX6の方が好みとか。

これだって、結局自分が中期YMOクラフトワークを正解としているからに違いない。

間違ってもトランスとかEDMとかRaveだとか、エレクトロニックボディとか^_^

ではない。

 

デジタルシンセサイザーが、アナログモデリングデジタルも含めて、ユーザーの好きな時代のどんな音でも出せる、電子音アーカイブになった今って、凄く楽しい時期なんじゃないか。

 

◾️ウェーブ容量とか音色数の多さって品質?

 

1990年代までは、まだメモリも高かったし、コンピュータだってようやく16ビットから32ビットに切り替わる時代。PCがGUIになりかけた頃。電子楽器も貴重な記憶容量を工夫しながら如何に少ないメモリで良い音に聞かせるかがキモだった。本体価格を下げるために、メモリーカードエクスパンジョンボードだとか言って、単なる別売オプションで客単価を上げよう作戦なのに。ココイチにおけるトッピングと同じ。

 

そこからすると、今やUSBメモリだってSDカードだって数十ギガクラスで数千円だし、高速なSSDを買っても1万円で数百ギガ。

 

エントリークラスのシンセでも1000を超える音色を搭載してくる。

 

でも、音色数じゃないんだよなー。分かりやすい指標ではあるけれど。

 

10個の使わない音色よりも、1つだけいつまでも使いたい音色が欲しい。

 

 

◾️シンセサイザーの進化ってなんだろう?

 

デジタルシンセの膨大なパラメータをボタンで呼び出すインタフェースに飽き飽きしたから、アナログへの回帰が起こったんじゃないだろうか?と推測している。

未来的な色と整然と並んだボタンはDX7の鮮烈なインパクトだったけど、アレでFM音源の音作りなんて、演奏家ではなく、プログラマーの仕事だと思う。

 

・ハードウェアの事

PCに倣ってシンセサイザーがPC化していくのは違うんじゃないかと思う。PCなんて、なんであんな最大公約数的な使いにくいインタフェースのまま進化しないんだろうな。1985年ごろのMSXと2020年のPCって何か違いますか?マウスか、タッチディスプレイか。FDDかHDDかSSDか。

PCの世界でもディスプレイを大きくして、解像度を上げて、マウスのカウントも多くして、おまけに解像度をあげるもんだからGPUも必要になり、終いには高解像度のディスプレイでは文字もアイコンも小さいから、大きくして。^_^

そもそもキーボードで打てる文字数なんて、人間の能力に依存している。

PCが文字を扱う事から、画像を扱う事に仕事を移してきたから、PCの進化は容量と処理速度の進化だったのかもしれない。

 

・ソフトウェアのこと

電子楽器のハードウェアがPCと共通の技術を前提にしているのはまぁいい。コストダウンだとかイノベーションだとか、メリットが大きいから。

PCのGUIに寄せるていくのなら問題だ。大問題。

ソフトウェア技術者が必ずしもそれまでの楽器の設計者と思想が違うからなのかもしれない。

タブメニュー、ファンクションキー、ドロップダウン、メニューボタン。

まるでビジュアル開発環境のコンポーネントのようだ。

限られたディスプレイ領域を、効率的に整理するための機能の階層化。

狭い画面で膨大な機能を整理する、大変だ。よく分かる。

現場のプロフェッショナルの苦労話を聞きたい気もする。

しかし、音楽家はエンジニアでは無いと思う。

結局、ユーザーエクスペリエンス。優れたUIとは?という問題。

でもそれはソフトウェアで実現化するGUIとは違うはずだ。

だって、楽器、音を出す専用の機械なんだから。視覚ではなく、聴覚。空間ではなく時間。記録ではなく記憶。バッチ処理ではなくリアルタイム。エビデンスではなく印象。

時間を空間で考えようとするから、スコアを大画面に広げたくなるし、曲を切り貼りしたくもなる。

 

話がだいぶズレてきた。インタフェースの話に戻す。

 

・インタフェースの問題。

ハードウェア、ソフトウェアで何をしてるのかって事。インタフェースの問題。

マンマシンインタフェースって大昔から研究されてきているテーマだし、軽々と語れる内容じゃないことはわかってるつもり。

でも、電子楽器が楽器である以上、身体との密接な関係を絶ってはいけないと思う。

そう、DTMだとかコンピュータのデスクトップだけで完結する音楽ってどやねん?って話。

後にそう言うことはAIがもっと効率的にできるようになるから。

 

電子楽器や楽器は、人間の身体が音を効率的に出す為に進化してきたインタフェースの歴史があって、PCみたいな文章書きのビジネスマン向けに進歩してきた機械とは違う。マウスを使うなんてもってのほかだし、大型ディスプレイよりも先に、リアルタイムに音の変化を生み出す事に力を入れなきゃ。目じゃなく、耳!

 

シンセサイザーインド音楽を演奏しているYouTube動画があった。

指とベンダーだけで、インド音楽だったんだ。

で、アレをシンセサイザーの機種が変わったから出来ないか?って言ったらできると思うんだ。

演奏家だけが、楽器にどんな機能が必要なのかを知っていると思う。速いパッセージに遅れが無いこととか、指先で音色やビブラートが表現できたら良いとか。身体の動きでどんな音の変化を生み出したいのか。

 

1番のAメロと2番のAメロは違う。間違っても小節をコピーなんてしたらダメだ。

1番のBメロと間奏を経過して、気分が高揚しているんだから、同じ訳がない。

 

その時、演奏者は楽器を通じて音をどう変化させたいのか?ベロシティの変化か?荒々しい音色か?レイヤーか?テンポか?レガートかスタッカートか?装飾音か?裏メロか?

 

演奏の話になってきた。

大して弾けないくせに、なんか偉そうだ。この辺にしておく。