いつか書こうと思っていた、電子楽器(主にシンセサイザー)の見た目について。
電子楽器に限らず、インタフェースを含めた楽器のルックスってのは、演奏する際の大きなモチベーションになっている。打ち込みの場合でもテンションが違う。
同じ音でも、U220とU20では違うし、同じプラスチックでもマット加工とテカテカつるつるでは違う。金属とプラスチックも違う。
■金属がイイ! 金属>>>プラスチック
今持っている電子楽器でルックスが気に入っているのは、VS-2400CD、KingKORG、MS2000B、FantomX6だ。すべて金属パネル。サイドウッドを使っているMS2000Bなんかは最高だ。
■電飾はKingKORG
LEDの光り方ならKingKORGとMiniNova。KingKORGが起動する際のチェックLEDは最高に恰好良い。真空管をイメージしたオレンジの光が、メッシュ加工した金属パネルから漏れ出てくるのも良い。
もう、コレ、絶対ラックスマンですやん!
なかなかわかりにくいところでは、背面のLEDも鍵盤を押すのと同時に明滅する。
楽器を演奏するということが、そのフレージングだけでなく、パフォーマンスなんだよということを主張しているようだ。
MiniNovaは、ベンダーホイールについている青いLEDが怪しげでGood・
■クールなデザイン、攻めたデザイン
・クールビューティ:KingKORG
デザインで最も洗練されているなぁと感じるのは、KingKORG。シャンパンゴールドの筐体なんてそもそもあんまり見かけないし、特別な1台という感じがする。
・攻めたデザイン:FantomX
ガンダムっぽいと言われているFantomXも好きだ。あの造形は、歴代Rolandのシンセの中でも相当攻めてると思う。
これまではRolandのシンセサイザーって、無駄な装飾が無く、機能美なシンプル&クールなデザインだったが、この1台はロゴからして相当主張している。
厨二病と言われているが、その通り。シンセが厨二じゃなくて何なんだ!
タンスと呼ばれたMOOGモジュラーだって、ハワードジョーンズのシンセの壁だって、YMOのステージだって、虚構がない交ぜになった世界観も含め、創作音と未来的ビジョンの共有があり、演奏者もリスナーも厨二的(文学的、夢想的)非日常を求めたんじゃないか。
話がそれた。
RolandのFantomXの話に戻すと、こいつときたら、本体にそもそもXのでっかいステッカーが付いていて、さらにオーディオ拡張すると細長いバナー状のステッカーが、エキスパンジョンボードにステッカーが付属して、いかにもガレージで改造した車のようにステッカー貼りまくり。
これ、車ならランボルギーニかなぁ。魅せるための車だったり、マッチョだったり。
おいおい!アニメの題字かよ!なロゴ。
・個性と言えば:SH-2
既に手放してしまったが、SH-2なんてのも相当なモノだった。銀、赤、黒って完全にモータースポーツ。ナチスカラーでもあるね。善悪じゃなくて。^_^
この配色はカノンの悪魔のコード進行みたいなものだ。映えるのよ。
厨二病としては。グッとくるデザイン。
コレで金属ボディなら、手放していなかったかもしれない。プラスチックな質感とデカさがあかんかった。
■他にも気になるヤツ
・MOTIF XS
MOTIF系列も美しい。ワークステーション然としたたたずまい。風格。鍵盤の付いているボディと入出力インタフェースが一段分かれているのもカッコいい。
スライダーが8本も付いていて、ボタンは整然と機能的に並んでいる。差し詰めにニュータウンとか団地のような機能美だ。(決して貶めているのではない、断じて)
「そうだ!この美しさは、ジムだ!!」量産型の美しさここに極まれり。
白いしね。LEDのグリーンは、ジムの目。なんかHONDA NSX(初代)って感じなんだよな。品格と実力ならフェラーリ?
・RS-5
RolandのRS-5という太刀魚みたいなシルバーボディのシンセがある。
これなんか刀みたいで凄く惹かれる。
中身はJV系のパフォーマンスシンセなんだが。
目の細かいサンドペーパーでピカピカに磨き上げたいような出で立ちだ。手の脂をすぐに拭き取ってください。みたいな
・MS2000
MS2000なんて、これまたガンダムなのだが。MSですよ。MS。ジオン軍のモビルスーツですわ。しかもMS2000は渋めのダークブルー。そう、グフなんですわ。ランバラルが降りてきそうな。ヒートロッドは無いのか?と探してしまうところだった。
MS2000Bの方は、ブラック&サイドウッドで、機関車というか、ドムというか。重厚感とアナクロな感じがたまらないんだが。
MS2000いいなぁ。ヒートロッド要らないから、1台常備したいなぁ。飾りに。
無理やり車に例えると、ジープ系なのかな、軍用車両とか三菱重工を感じるわ。
■機能美 MOXF6
MOXFは、何も飾らない。必要な部品が、一番使いやすい場所に配置された機能美。
音が上品(細いとか言われることがある)で透明感あふれる音。
音職人が使用する道具は、地味でもなんでも、常に使いやすい状態で手になじめばそれでよい。
MOXF、MOX、MX・・・全部この系統だ。プラスチックは安っぽいし、電飾も特になければ、ステッカーを貼ってくださいでもない。単にコストカットなのか知らないが。主張してこない。
これはなんだろうなぁ。喩えられないなぁ。
・機能美:KROSS2
KROSS2なんて、機能は凄いけど、完全に没個性な、廉価版。安っぽさが前面に出ている。背面を見ると、KORGの電飾が光るようになっていて、暗がりならカッコよく見えるヤツ。カラーが黒ならもう少し高級な見えただろう。
ロゴもダサいフォントだし。なんだかワードとMSゴシックみたいな。
新品購入からわずか2年で手放しちゃったけど、やはりプラスチック筐体ってのは大きいと思う。ありがたみがないんだよ。
◾️昔話〜遠い目
・System100
ローランドのたんす。
シンセサイザーに憧れていた中学生の頃。あのタンスみたいなデカい音響装置がシンセサイザーだった。パフォーマンスキーボードはシンセサイザーではなく、キーボードだと思っていた。
・DX7
その昔、1番の衝撃はやはりDX7だろう。
今となっては、初音ミクの方が有名かも知らないが。当時はあのカラーリングとフォントの醸し出す未来感に胸を躍らせたモノだった。
TX816なんてのも存在感があった。
・U-20、D-70
U-20のシンプルなデザインに痺れた。
ボディのあのカーブと、少ないボタン。
音作りを拒む、サンプルプレイバックキーボード。続けて出たD-70もデザインの基本はU-20だが、デカい液晶とスライダー、そしてパラアウトが付いていて、マスターキーボードの品格を醸し出していた。
◾️そしてコレからも
コレからも金属の確かな質感と、デザインの良さで電子楽器を選ぶんだろうなと思う。
物理シンセを所有するって、こういったフェチや感覚が楽しいからって気がする。
ソフトシンセやラックマウントではダメ。
もう、こういうのを敷き詰めてもなんにも楽しくない。