「新」老人は若者よりもキレやすい
のコピーに引き寄せられて購入。
”凶悪少年犯罪が増えている”というのが統計から見ても嘘で、むしろ団塊世代の犯罪が増えているという自身の脳内情報もあったため、本書にもケーススタディ的な実例がてんこ盛りなのだろうと思っていた。
残念ながら、その予想は裏切られた。
数例の事例があるだけで、あとは筆者の大胆な想像と体験から来る思い込み、個室化とパーソナルスペース、時間の搾取、丁寧化の強要などのキーワードで、演繹的に老人の切れやすさを推測するのみ。
テクノストレスや、システマチックな人間関係、血の通わないサービス等に窮屈さやささやかな怒りを感じているのは老人だけではない。ストレスの原因を推測するものの、それが何故老人で顕著なのかが一切説明されない。「年を取ると分別もあり、常識をわきまえている老人というステレオタイプとのギャップがセンセーショナルだから、たまたま取り上げられるのだ」というのだろうか？
統計的、科学的、立証的、帰納的な手法は一切存在しないため、ルポタージュではない、言いっぱなしで検証が一切ない私小説、エッセイだ。
残念！。
