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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

考えないヒト〜ケータイ依存で退化した日本人/正高信男

”ケータイを持ったサル”という大ヒットした本(未読)の第二弾らしい。
ケータイの持つ利便性は、脳の外部化を促進し、思考力の低下、家族崩壊へと退化させる・・・と主張している。
自分も、記憶や検索に関することをネットに依存している現状を、「これは脳の退化に繋がっているのではないか?」「脳の外部化が促進されていることは、脳の退化に繋がるのでは?」と直感しているものだが、さすがに文明とか文化論まで思いを巡らせたことは無かった。

著者は霊長類研究の視点から、サルのコミュニティとケータイコミュニティを比較し、この主張に繋げているようなのだが、どうにも飛躍が著しい。
例えば、一部のサルのコミュニケーションが平等を基本としており、共通のルールが認められる小集団の単位で行動するのだとしても、それが渋谷辺りで携帯を手放さずうろうろしているティーンの生態と同様だと結論付けるのはいかがなものか(笑)
「あいつら、サルなんだぁ」って・・・面白いけど、説得力ないなぁ。
引きこもり、出歩き、キレる、ネット依存・・などなど今を代表するキーワードを一応説明しようと試みているようだが、脳研究を世相批判につなげて大ヒットを飛ばしている養老先生と同じように”何かの研究による知見をバックに、オヤジがモノ申している”という感じがしてしまう。
サルの研究データ引用も少ないし、統計データの提示の仕方も恣意的に感じてしまう。
とはいえ、この本1冊で筆者の知見について断罪するのもあんまりなので、”ケータイを持ったサル”の方も、今度読んでみよう。