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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

日常の無害な洗脳(?)

ちょっとしたことの蓄積が大きな影響力を持つ。脳のネットワークが、日々の記憶の強化で”自動的に”構築される(らしい)のであるから、当たり前とも言える。入出力を脳自体がコントロールできるわけでもなく、柔軟な構造を持っているのがコンピュータとは違うところだ。
先日見た、クライシス・オブ・アメリカの”バーチャルな記憶捏造による恐怖”の印象が影響しているのであろうが、ここで言いたいのは、現在脳に対して絶対的な影響力を持つと思われるTV、特に”露骨な動機”を持つTVCMについてのちょっとした所感。メディアと洗脳っていうテーマは非常に面白い。
TVCMの露骨な動機とは、言うまでもなく”売り上げへの貢献”、”シェア拡大”、”イメージアップ”への効果を求めているということであるが、事実や確固たるメリットを元に、消費者に判断を促し、購買動機に繋がるのであれば良い。フェアだと思われる。そうではないと感じるから気持ちが悪いのである。

カビのコマーシャルや、害虫駆除(ダニ、蚊)などのコマーシャル、デンタルケア(歯周病菌)、花粉に限らず、「画像はイメージです」などと控えめな表示と共に、グロテスクなCGを垂れ流している。
事実ではないイメージ、もっと言えば人間のスケールで生活している限りにおいては、決して見ることのない映像を提示しておいて、潔癖症を強要する。酷い場合は、恐怖、憎悪、脅迫観念を感じる場合もあるだろう。
少なくともCMは、我々の体験のスケールで、もしくは効果を明確に提示することで、商品の優位性やメリットをアピールしたらどうなんだろう?
TVCMが発達していない時代や地域では、蚊にさされれば痒い・・という体験はあっても、あの憎たらしい蚊の顔を想像して、嫌悪することは無かっただろう。目に見えないものにまで恐怖(そこまで大げさではないか)を感じるように誘導され、恐怖を取り除くためには金を出して商品を買うことで、原因が取り除かれると錯覚させられる。効果に対する保障は誰もしないし、言いたい放題である。
こういった日常の些細な洗脳によって、人間の脳が仮想空間を生きているということは考えられないだろうか?
「いいじゃねぇか、手に大腸菌が一杯でも(免疫ってもんがあるだろう)」
「かまわないじゃないか、歯に歯周病菌がいっぱいでも(昔からいるんだろ?)」
「顔にダニがいるからって何だって言うんだ?(共生関係にあるんだろ?)」
「花粉が飛んでるからって、しょうがねぇだろ、杉だって必死なんだから(言い過ぎか)」
人間は人間のスケールで悩んで、喜んで、誤解して生きてりゃいいんじゃないのー?
ミクロな世界の邪悪な存在について、ありもしない妄想を抱いて、(汗をたらして、屈辱を感じながら苦労して獲得した)金をばら撒かなくたっていいじゃん?
そう、生活に関係ない邪悪なフィクションをTVはばら撒くな!ってことなんですな。