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新・UFO入門 / 唐沢俊一

日本国政府が「UFOなんてものは確認していません」とわざわざ立場を明確にしたというニュースがあった。
だからというわけでもないが、(いや、少しは影響されているのだろう)UFO本である。
筆者は、”と学会”でおなじみの唐沢俊一氏。
サブタイトルに”日本人は、なぜUFOを見なくなったのか”とある。
大体、このサブタイトルの時点で、立場は明確である。
「なぜUFOを見る人と見ない人がいるのか」
UFOという(ありもしない)実体を論じるよりも、(ありもしない)UFOを見てしまう人の側に、研究すべきテーマがあるのではないか?という視点で書かれている。

これより以前に読んだUFOとポストモダンという本では、見る側の思想の変化によって、UFOやエイリアンが変形していくことが解き明かされている。
不安の表れであったり、その裏返しである得体の知れない希望がUFOやエイリアンを生み出していることは、ほぼ間違いが無いような気がする。
「UFO信者は、疑うよりも、まず信じることを強要するスタンスがカルト信者と同じ。」という筆者の主張はそのとおりだと思う。
オカルト、スピリチュアル、超古代史、UFO、UMA・・。客観視ではなく、信じる気持ちのみで、どこまでもはまり込むこと(逃げ込むこと)が出来るあちらの世界。
社会不安のガス抜き。逃避ではなく、完全なフィクションとして楽しむゆとりが欲しい。

本編の内容とあまり関係ないことで、印象深い文章を見つけた。
組織を成り立たせる原理についての意見。

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人間にとって自由という概念は、全ての責任を自分が背負わねばならぬ、
面倒なもの。誰か自分に代わるリーダーがその決断を引き受けて、
自分はそれに従うだけでよい、という立場になれば、
人間は自由を失うかわりに、責任と言う大きな重荷から開放される。
これが組織と言うものを成立させている要素であり、
そういった組織の究極の形がカルト宗教である。

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