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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

メタリカ:真実の瞬間

モンスターバンド”メタリカ”20年目の危機と復活を描いたドキュメンタリー
バンドの失速(アルバム、ツアーにブランクが開いた)、ジェイソンニューステッドの脱退、ラーズとジェイムズの葛藤、バンドと家庭
分裂寸前のメタリカを救うべく、セラピストが送り込まれ、”関係修復”と”メタリカというプロジェクト”が復活するまでのドキュメンタリー。
アルバム1枚に2年、3年の年月を掛け、その間苦悩し続けるのは、並大抵の忍耐力とストレスではない。なにせ、過去通算世界中で9000万枚ものアルバムを送り届けている一大産業なんだから。
メタリカというバンドは、Drsのラーズウルリッヒが実権を握っている”ワンマン社長が経営する会社”のイメージが従来からあった。Voジェイムズの意見が黙殺されたり、エゴが攻撃されたり、フロントマンだからこその悩みへの無理解などが、このドキュメンタリーで生々しく再現されている。

その昔、メタリカをクビになったデイブムステインの告白も生々しい。ジェイムズの過去から来る「誰にも捨てられたくない」といった告白も涙を誘う。口は悪い(直接的な口撃)し、表現も適切ではないものの、ラーズがバンド全体やバンドの行く方向を最も正確に指し示していることは間違いないようだ。セラピストやプロデューサなど、信頼できる外部の人間のお陰で、ラーズが目指す”メタリカ復活”が現実化していく。
サイトにも書かれているように、「これはメタリカについての映画ではなく、人と人の関わり合いを描いた映画(ラーズ)」というのは本当の話。
組織や人と自分との関係を修正しつつ目的を達成する、チームの力を引き出すには議論をすべき、恐怖に直面したときこそ乗り越えるべき・・なんていうのは、どこで何をしている人にとっても無縁ではない。
メタリカというバンドや、関係者について知っていれば”より楽しめる”というのは確かであるが、メタリカを知らない人でも、バンドという小集団の中にさえ、様々な思いや役割分担、個性がぶつかり合っていることに驚き、そして共感するのではないか。
こんなドキュメンタリー(恥さらし)をリリースできることとなったのも、メタリカが他の多くのバンドと異なり、復活に成功したからなんだろうな。
セラピストがバンドの人間関係に加入してくるって・・・アメリカでは日常化してるのかなぁ。
※エックスジャパンの場合は怪しげな自己啓発系だったけど(笑)。