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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

X - The Cross


X
( The Cross )


 


Photo:[ The Cross ] by Yoshiyuki Matsui  with Computer
Software 


このCGは、サルバドール・ダリが描いた大胆なキリストの像を、さらに大胆にも私が面白半分で真似した”とても失礼な”ものです。キリストを下から見上げるのではない構図が相対主義者みたいです(汗)



<Note>

意味もなく、The Crossです。


ネタは Live2(ableton)ZERO-Gのスパニッシュモノ、東欧方面のボイスサンプリングCDなどなど。意味深なサウンドを集めてみたくもなり“お前大概にせぇよ“の4枚目サウンドスケッチ。今回はX(The Cross)と名付けました。今回は全体で一つのテーマに向けてイメージを合わせて参ります(笑)。曲順についても、全曲が揃った段階で練り直し、壮大に世界を演出する予定です。

”映像的で感動的なサウンド”を生み出して行きたい。そんな、ちょっとした意思なんぞが芽生えてまいりました。あまりにも人間的な苦悩と喜びに満ちたサウンドスケッチ。

そんな“無くても良い自意識“を追求する苦行(・・・今回は苦しみそう・・) 2003/07/20〜

Thanks
to

Den,Matz,Taruichi,Botsuco
and All Friends

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SongsList


01


BloodyScorpion.mp3


シャーマン


ボーカル


2003/07/27


何か良からぬことが起こる予感。憂い、かすかな期待、底知れぬ恐怖・・・。東欧の女性ボーカルのサンプリングによるアンビエント。シンセパッドが独特の色彩を演出し、ボイスを表情を引き立てます。


02


02Amnesia(Loss of
Memory)
.mp3


記憶喪失症


エスニック


2003/07/27


あまりにも人間的なアフリカンエレクトロポップ。アフリカンコーラスと柔らかなシンセパッド、愛らしいなリズムマシンとシンセアルペジオ。「今、私、幸せいっぱいです(笑)」。・・・・っていう記憶がきっと今でも、どこかで眠っているはずなんです。

03


03BloodyScorpion.mp3



真紅の蠍


エスニック


2003/07/21


おびただしい量の血液を浴びた真紅の蠍のイメージ。フラメンコギター*、タンゴのタップ、ボイス、エレクトロビートの攻撃的な一品。


04


04Aria.mp3


アリア


クラシック


2003/08/01


満を持してこの夏ついに登場!(笑)。”バッハ*のG線上のアリア”。誰でも知っている曲がオールサンプリングのポップスとして再生。おなじみの女性コーラスの2声+淡々としたシンセベースからリズムマシンのビートが入り、エスニックなアドリブボーカル、シンセの大げさな展開*がコントラストを生み出す。原曲の聴きたい部分だけAABABA構成で再構築した”バッハさんごめんなさい*”な曲。やっちゃいました。


05


05Despair.mp3


失望

ボーカル


2003/08/02


物憂げな女性ボーカルと抽象的エレクトロサウンド*。平穏な日常に潜む異常。異常が日常化したいびつな風景。表面化しない狂気は、内部でひたすら増大し悪夢を生み出す。


06


06KillingMachine.mp3


殺人機械


ハウス


2003/08/09


リズムマシン*とエレピのクールで開放的なハウスサウンド。ジェット戦闘機、サイレン・・。これは紛れも無く戦争なのです。無邪気な殺人機械による日常的風景を表現。(無音、機械仕掛けの近代戦を表現するため、爆音、マシンガンなどの直接的な音声は一切使用しておりません・・・笑)


07


07Jihad.mp3


ジハード(聖戦)


ハウス


2003/08/10


シンセサイザーの重厚なコードと無国籍な女性、男性ボーカル、ハウスビートによる壮大なアンサンブル、悲壮感、緊迫感漂う一品。軍隊の靴音、マシンガン、プロペラ戦闘機の悲しいサウンドエフェクト*が聖戦を表現。Aria、Elegyと合わせて聴くと強烈。


08


08Lullaby.mp3


子守唄


エスニック


2003/08/11


インド亜熱帯子守唄エレクトロ風味。抽象的なベース、シーケンス、タブラのパターンとインド歌姫のソフトなボイス、亜空間を演出するシタールのドローンとフランジャーサウンド


09


09Fate.mp3


運命


テクノ


2004/08/15


 インドのおじさんボイスの反復とシンセの大げさなリフ、テクノ感溢れるシーケンスの生み出す焦燥感。わずか3分間の曲だが、永遠に繰り返すような洗脳的サウンド


10


10Elegy.mp3


エレジー

ボーカル

2003/07/26


 予感は的中した・・・20世紀 戦争の世紀。教会の中で神託を受けたシャーマンが悲しく歌う弔いの曲。ところで、私、どこに行ってしまったんでしょうか?(汗)・・・非常に重い曲です。


11


11.mp3





 


12


12.mp3





 


13


13.mp3






14


14.mp3


 


 



 

Keywords  

東欧の女性ボーカル

東欧・・・一般的なイメージではルーマニアブルガリアあたりを指すのでしょうか?なんだかエスニックな感覚を今も大事に温存してて、コブシなんかも強烈な個性を持っています。ブルガリアンコーラスなどは最高ですな・・。きれいな声っていうよりも、とっても力強いかぁちゃんって感じですな。この女性ボーカルが今回のサウンドスケッチのカラーになってます。とても”うら若き小娘”なんぞが出せる味じゃありません。

フラメンコギター

サンプリングでフラメンコとは・・。ホントはこんなギター自分で弾けたらいいなぁ。Onlineっていう山形の知り合いのバンドがあって、そこの武田さんっていう人は弾けるんだよ。マジでうらやましいよ。

バッハ(ヨハン・セバスチャン・バッハ

いつしか心のメロディとなったバッハ。父が生前、愛して止まなかったバッハ。音楽の大きさ、奥深さ、素晴らしさはバッハにすべての根源がある。そんなバッハを幾度と無く、コンピュータや胡弓でチャレンジした。心の中のバッハをいつまでたっても表現できないもどかしさ。今回恐れ多くもオールサンプリングでチャレンジ。大げさな展開と泣きのボーカルが自分の気持ちを代弁してくれた気がする。いつに無くウェットなコメントですまん(汗)

大げさな展開

厚みのあるシンセパッドとアナログシンセリードがコーラス、ディレイで広がってたり、感情的なボーカルとグランドビート。これが”大げさな展開”の秘密。イエスEL&P、キングクリムゾン、ピンクフロイドなんかの70年代プログレ連中(失礼)のアルバムを聴くと凄いものがある(メロトロンなんていう”味のあるテープサンプラー”の功績は大きいと思うんだけどね)。オーケストラよりもシンセの方に感情移入するってのも凄いことだが、ホントのことなのである。オーバーハイム、ムーグ、プロフェット5なんかの定番なシンセサウンドに惹かれてしまう。もちろん、音の動きとして、メロディの上昇とベースの下降によって音域が広がらなければ大げさにならないので注意。ん!今気が付いたけど、ここで言ってる大げさな展開、厚みのあるシンセパッドってパイプオルガンのイメージに似てる!。

バッハさんごめんなさい

バッハさんごめんなさいの元祖”ワルター・カーロス(=ウェンディ・カーロス←オカマ)”の「スイッチオンバッハ」。ジャズ界ではジャックルーシェって人がやってた(こちらのアレンジは大嫌い)。さて、このワルターカーロスの悪ふざけに触発されたのかどうかは定かではないが、クラシックの名曲を次々とシンセサイザーで塗り替えたシンセサイザー音楽の巨人”富田勲”大先生がいらっしゃいます。いくつか富田先生のCDを持っているが、どれも壮大な叙事詩になっていて、この人の想像力・構成力にはホントに驚かされるのだ(”火の鳥”は鳥肌モノ)。先生の逸話としては、シンセサイザーという謎の機械の黎明期に、海外からこれを持ち込もうとして”兵器と勘違いされ、キーボードの部分だけ税関から通された”話はあまりにも有名。(笑える)。”人を殺す機械”と”人を幸せにする可能性がある楽器”とを勘違いする愚かモノめが!(爆)。話は戻るが、私のアレンジも”例外ではありえず”世にある「バッハさんごめんなさい」の一つに数えられると思う・・・誠に残念ながら。オリジナルはもっと繊細で緻密に構築されてて、もっと優しい。

抽象的エレクトロサウンド

映像的だが何か特定の場面を想定したのではなさそうなサウンド(←これ自体何を言っているのか解らない・・笑)。サンプリングをポップスに持ち込んだトレバーホーンなるおっさんが設立した”ZTT”というドイツのレーベルがあって、その中でも異彩を放つ謎めいたユニット”プロパガンダ”っていうのがある。謎めいた女性ボイスと抽象的なサウンドがとても美しいのだが、どこか狂気めいたものが含まれていたと思う。やはり毒がないと旨みが出ないのだ。

リズムマシン

リズムをパターン化してプリセット。こんな簡単な仕組みなのにとても画期的なのは、人間がリズムをパターンとして捕らえていることを発見したからだと思う。ワンパターンを延々と繰り返すのに「かっこいい!」って思わせるHipHopとかハウスの人って凄い(Technoの人は、音色が強烈なだけで”ちょっと退屈なリズム”であることが多い)。

悲しいサウンドエフェクト

本来サウンドエフェクトに悲しいも楽しいもないのだが、これにコードが絡んだりすると一気に色が付く。何度も出てくるが、YMOのEpilogueにおける工場ビート+坂本コード、プロパガンダで聴かれる教会の鐘の音・・など。全く無関係な曲に統一性を持たせるのにも最適。(JihadとElegyにおける戦争の音)

 

<Caution>

このアルバムを構成する曲のすべての著作権は松井良行が所有します。個人がコピー・配布・利用することに対して一切の制限は設けませんので,ご自由にお使いください。(切り刻んだり、つなげたりせずにそのままの形態でご使用ください)。公的、商的な用途に使われる場合は、ご面倒でもmappy@yb3.so-net.ne.jpまでご連絡ください。

*このアルバムで使用されている曲の一部をリサンプルして再利用する場合には、SonicFoundry社より各音源の購入が必要です。