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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

KROSS2 全部入れてみました!の功罪

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KORGのエントリーワークステーションであるKROSS2を手に入れたのは、サンプラー機能が欲しかったから。


学生時代のAKAI S01は電源が怪しかったり、プラグの部分がプラの劣化で没落したりと、いよいよ寿命を迎えそうだ。

 

 

◾️まずはおまけの膨大な音色をインストール


楽器屋オリジナルの白いKROSS2には過去のシンセと膨大な音色ライブラリーのSDカードが付いてきた。512音色だ。ユーザーエリアにドカンと512音色入ると同時に、カテゴリ内にも追加されている。しかしまぁ。1280音色だ。

とてもじゃ無いが全部聴く気力はない。

(そして、今に至るまで全部は聞けていない)

 


◾️初期衝動のサンプラーとあの曲

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KROSS2を手に入れてまず最初にやったことは、サンプリングだ。S01が生きているうちにS01で鳴らした音を、KROSS2でサンプリングしていく。

S01のローファイな音に驚くが、KROSS2の波形エディットの簡単さにも驚く。


次に、YMOのあの工場のプレス機の音を入れて、リズムが綺麗にループ出来るポイントで編集してみる。コレもラクチンだ。素晴らしい。


パッドにアサインして、本体のシーケンサーでループ再生してみる。


パッド音色を選んで、複数のパートを手弾きで重ねていく。


後奏 Epilogue / YMO

をホンモノそっくりに再現できた。^_^

 

 

◾️次にやったこと シーケンサー

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QX5FDで作ったシーケンスをリアルタイムで流しながら、KROSS2のシーケンサーでマルチチャンネル録音する。外部クロックモードにして、こちらも簡単簡単。

リアルタイムで外部クロックから録音するときに拍子を選択できないと言うのは驚いた。


手弾きリアルタイムなら拍子を選べるという仕様。手弾きで無音の録音をして、オーバーライドすれば良いのかとも思ったが、面倒臭すぎる。

どうせKROSS2のシーケンサーで編集もしないんだから、小節線なんか気にしなくてもいいか。と変な納得の仕方。


ともあれ、QXの懐かしいデータをKROSS2に移し終わったので、本体のソングに次々と取り込んでいく。


次にパッチを組んでいく。

 

 

◾️シーケンスモードでパッチを選択

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曲で使う音色を各トラックに割り当てていく。音色選びはカテゴリサーチで簡単だし、パンやボリュームも直感的。

外部音源と内部音源の切り替え機能や、プログラムチェンジの登録も分かりやすい。

この辺り、少ないボタンでこれだけの機能をまとめるのは大変だろうと思う。


マルチ設定はソングデータと共に記録されるのでとても楽だ。

 

 

◾️エフェクト設定が絶望的


過去のシーケンスデータを再現するにあたり、とても面倒だったのが、エフェクト設定だ。インサーションエフェクトの設定は絶望的。

5つのバスに、それぞれのエフェクトを割り当てて、センドバスを接続してくださいと。

それぞれのバスは直列も並列も出来ますと。


汎用的かつ、自由度が高いのだろうが、こんな事を毎回やらなきゃいけないのかと絶望的な気持ちになる。


MX61のインサーションエフェクトに慣れていたので、特に面倒くさいと感じてしまった次第。

 

 

◾️メニューが深すぎる


高機能を使いやすくするための工夫がイマイチに感じる。やたらメニューが多く、階層が深い。メニューボタンでショートカット出来るが、液晶ディスプレイ近くの数個のボタンに集約しすぎ。

せっかく沢山のパッドを持っているので、コレらを16パートの選択に使ったり、階層を行ったり来たりしないようにできないものか、


なんか、ページを行ったり来たりしながら、やりたい事を直感的にできない、行けてないWEBアプリみたいだ。

グローバルメニューを準備したからショートカット出来ますよと。


各パートの音色、ボリューム、パン、エフェクトはシームレスに、一画面で見たいのよ。


機能は確かにワークステーションも呼べるモノだが、ユーザインタフェースは、各パートを統合的にコントロールするものではない。

 

 

◾️肝心の音色は?


MX61マルチで流していたシーケンスデータを、KROSS2で再現してみた。

まず困ったのは、ドラムトラックのアサインだ。データを作り直すのも面倒なので、GM互換のドラムセットを選択するも、これが酷い体験。

普段、電子楽器の悪口は言わない、寛容な性格なのだが、お世辞にも良いとは言えない。

金物は絶望的、スネアはベロシティに対して細かな変化をしない、バスドラム、タムも生音からは程遠い。コレは懐かしのサウンドキャンバスとかミュー次郎のなんちゃってドラムではないか。互換のための規格だから仕方ないか。


生音系でストリングスは絶望的。

ソロ楽器のビブラートがどうにも機械的で好きになれない。メロディを気持ちよく弾けないのだ。

ホルンやシンセブラスなんかの管楽器は結構良くて、ヌケてくる。

ベースも生ベースやエレキベースはダメ。

シンセベース、シンセリードとか派手目のEDMな音は結構良い。殆ど使わないけど。

オルガンとエレピは気合が違うのか、音色数も多いし、バリエーションかマニアック。

特にオルガン系はパイプオルガン、ストリートオルガン、アコーディオンがいい。

 

さすがKORG。オルガンのメーカーだね。


結局、良くわかったのは、オルガン、管楽器、ダンス系の音色は良いが、生系は失望ということ。


コレはYAMAHAとの比較の話なので、シンセやメーカー間の個性と呼ぶべきモノなのかもしれないな。

 

 

◾️オーディオ録音機能

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コレはクラスを超えて凄い機能だと思うが、MIDI シーケンスをオーディオに録音したり、外部オーディオを録音して、パッチとして保存したり、パッドにアサインして簡単に再生できる機能。


要するに外部音源をシーケンスしながら、本体内に録音できるということ。


残念ながらシーケンスと長尺オーディオと同期再生は出来ないようだが。


内部音源のオーディオ化と外部オーディオがループして、ハウリングというのは、もはやあるあるネタか。インプットを出力しないように設定しないとね。はいはい。


しかも、実はこのオーディオ録音機能は、かなり音質が良い。

タスカムのマルチチャンネルデジタルレコーダーを使ってミックスダウンしていたが、KROSS2の方がノイズが少ないような。


結局、QXで外部音源を鳴らして、KROSS2で録音。パッドにアサインして、オーディオ再生マシンってのが今のところの活用パターンだ。


レコーダーと違ってファイル名じゃなく、任意の曲名を簡単に入力できるし、パッドを使って、ランダムに曲を再生できるのはかなり良い。


バンクが8つあって、パッドが16なので、128曲をスタンバイ出来る。


MIDI シーケンスを正確に鳴らすワークステーションではなく、沢山の機器を使って最高のミックスダウンを、録音して持ち歩くという方法論もあるなぁと。


昔は、沢山の機器を持ち出してのライブが嫌だったので、マイナスワンのバッキングをMDで録音してライブをしていたものだ。

 

 

◾️マスターキーボードの品格

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色々とネガティブ情報満載で、KROSS2って結局どうなの?と言うところなのたが。

トータルでとてもコストパフォーマンスの良い入門用ワークステーションだと思う。

本当に。


自分は音が好きになれないので、サンプラーとかオーディオ機能などの楽器としてと言うよりは、デジタル録音機器としての良さを強調したくなるってだけで。


もう一つ実は良いなぁと思っているのが、マスターキーボードとしての管理機能。

先に、外部音源のコントロールが設定できると書いたが、まさにこの部分。

内部音源を選択しながら、外部音源のプログラム情報を記憶、保存できる。


やはり楽器としての評価ではなないね。

 

コレがあるから使いたいという好きな音が発見できないうちは、愛着が湧きそうにない。

 

1280音色と向き合わないとね。