このところアナログシンセをたくさん買った。
音色そのものの面白さ、リアルタイムの音色変化だとかを求めてのものだったが。
最近はすっかり使わなくなった。
いわゆるシンセ音だけで完結する音楽のジャンルをやっていないので、特定の音で勝負するということがない。
なので、やはり曲データをロードして、スイッチポンで欲しい音が出て欲しいし、曲調やフレーズに合わせて、最適な音を即座に決めたい。
その辺の、オケを作っているときの即時性が大事で、いちいちイメージに合う音を毎回作るのは不便だ。
ギターを弾いていて、フレーズを考えているのに、エフェクターで音を作り始めて沼にハマるとか、本末転倒だが、そんな感じ。
面白い音を求めるシンセ道なのであるが、初めてシンセを手にした中一の頃から、出したい音をすぐに出す、演奏するというのは重要な要素らしい。
・・という振り返りの長い文章開始。
■シンセやデジタル機器の進化と利用遍歴
・アナログシンセ(モノフォニック)
生まれて初めてのシンセはヤマハのCS01。
EQ程度でほとんど効かない自己発振しないフィルターだが、PWMの音が大好きだった。
音色メモリーなんてないから、音色チャートに手書きでつまみの位置をメモ。
YMOやハワードジョーンズ(たまに喜多郎)に成り切って遊ぶ、牧歌的な時代。
・アナログドラムマシン
CS01と共に買ってもらったアナログのリズムマシンは、エレクトーンのようなしょうもないリズムパターンの選択と、スイッチをぺたぺたリアルタイムに叩くしかなかった。
音色もしょうもなく、チープ。
・ミュージックコンピュータ+FM音源
YAMAHAのCX-05は本当に良く遊んだ。MSXのコンピュータにFM音源を搭載して、ROMで音色作成やシーケンスデータを入れることが出来た。
4OPのFMシンセの音作りで出来ず、テープで供給される音色データを使ってやっていた。
・PCMドラムマシン
はじめてのドラムマシンは、KORGの黒いやつ。なんていったけな。
今からすればロービットであることは間違いないのだが、当時はリアルなドラムな音だと言って大喜びしていた。
こいつを鳴らしながら、ランダムスターのコピーモデルでラウドネス!は最高だった。
・PCMドラムマシン2
次世代のPCMドラムマシンは、TR626。MIDIでマルチアウト。音はドンガンと80年代丸出しだが、これも自慢の愛機だった。
・シンセドラム
メタルバンドのドラマーとして軽音でブイブイ言わせていた頃。
石橋だったかBIASのアナログシンセドラムを持っていた。
生ドラムのリムに付けて、「ピューン」と発振音が出るだけのしょうもない電子楽器。(電気楽器?)
何がしたかったんだろう?YMOかな。
・デジタルシンセ
マルチティンバーなる言葉と共に、シーケンサーと一緒に使うデジタルシンセの時代が来た。
D-5とQX-5FDで復活した打ち込み熱は、そのまま音源地獄(天国)に突入。
D-5の今聞けば情けない音は、当時「リアルで高品位なデジタルな音」だったのだ。
デジタルシンセの打ち止めは、D-70だった。
デジタルで発振するフィルターと、U220の音色と、マルチアウトとスライダー。
学生当時、初めて借金(ローン)を組んで買った最大の宝物だった。
・PCM音源モジュール
データを作りながら、オケを鳴らすのに便利だったのがU-220。ありとあらゆるバリエーションの音色を手中に収めた感覚があった。
音色ライブラリーがお金を出して買うものになった。最高のスタジオなりで録音された何百もの音色を数万円で購入するビジネスモデル。
U220、U110に挿せる限りのROMカードを差し込んで音色天国。
今思えば、全部同じ音で面白みが無いのだが。
音作りという作業(クリエイトではない)から開放されて、アレンジや全体性に時間を使えた気がする。
最終的に、この手の音源モジュールのお気に入りはローランドのビンテージシンセモジュール。
・パーカッションパッド
ビル・ブラフォードになりたかったのか、今となっては謎だが、SPD-8なるオクタパッドを持っていたことがある。今思えば、リアルタイムで音の悪いドラムマシンの音や、しょうもないメロディを打楽器で奏でても何も面白くない、
ドラマーの自我が、良からぬ方に行ってしまった黒歴史だと思う。
GRとかいうギターシンセも使っていた。元々はギターのフレーズを打ち込みたいという目的だったのだが、次第にライブでインチキギタリストとしてギターを弾くようになり、シンセベースをギターで弾くのが面白くなった。
PCM音源でリアルな音とのことなのだが、センサーが良くないのか、ギターとの相性が非常に悪い。
ギターのレスポンスはMIDIにならんのか?と限界を感じるも、次世代に続く。
・アナログシンセ(ポリフォニック)
昔、といっても90年くらいだったか、デジタルシンセ(PCM音源)全盛期に、やはりアナログが良いなと言うことでJUNO6を所有したことがあった。
音色をメモリーできず、ピコピコ音とかシンセベースだとかの専用機に成り下がったし、後にJUNO106に買い替えた。
で、ちょっと変わった音が欲しいとか、あの音をパクりたいと思ったときに、サンプラーというのが出てきて、フレーズサンプリングだとか、過去のアナログの名機だとかのデータで遊んだ。
S-01は好きだったなぁ。
音源をなんでもフレーズサンプルして遊んだ。
・アナログモデリングシンセ
根がテクノなので、電子音が大好き。
ってことで、フィルター発振でピコピコできるデジタルシンセに開眼。D-70の階段状のフィルターは遥か昔。
MiniNova、MS2000Bは今でも中の良いお友達。
で、リアルなPCM音もサンプリングも出来るワークステーションで、オケを作るというのが可能になった。
サラリーマンになってからXP-30だったかを中古で買ったが、ほぼ使わず。内容はほぼJVで、特に面白みがないシンセだったね。(シーケンサーの使い方に慣れることが出来なかったのが敗因かな)
MIDIデータと音色とエフェクト、パン、ボリュームなどを一括で管理できる使い勝手は最高。
Fantom XやGを手に入れるも、Motif XFがベストだった。
途中、MX、MOX、MOXF、KROSS2などを経由したが。
・DAW
いろんな機材の電源を押して、セッティングしてという作業が嫌で、かつ、デジタルでレコーディングしてみたくて、ソフトウェアの世界でしばらく遊んで見るも、今度はパソコンの世界の厭らしさやラグ、USB機器の氾濫に嫌気がさす。
・バーチャルドラム
家の中でもドラムを叩きたければ、V-Drum.
昔(軽音の頃)、トレーニング用のドラムをカタカタ叩いていたことがある。
あのゴムパッドの時代とは異なり、メッシュで跳ね返りの良い打面、リアルなドラムの音色にノックアウトされた。(名古屋パルコの島村楽器で試奏したのが運の尽き)
25万円という値段でツインペダルと共に購入したが、あれから12年以上も(音源やパッドなんかを買い替えながら)使い続けているので、かなりコスパの良い買い物。
・デジタルレコーダー
MIDIデータを管理とか、ライブラリアンで音色を管理とか、これまた作業的な事に辟易し、「結局音を残すってのがメインのタスクだ」ということで、デジタルレコーダにマルチトラックの音楽を残す手法が大好きに。
電子パーカッションとかV-Drumだとか、ギターを演奏して残すことがメインになった。
オケはMIDIでワークステーション+アナログモデリングシンセがメイン。
サラリーマンになってから勢いで買ったVS880-(zipドライブをscsiで繋ぐやつ)はデモソングが入ったまま放置で、ちゃんと使うようになったのはヤフオクでVS2400CDを入手してから。
・電子パーカッション
昔からあこがれていたタブラを演奏できる電子パーカッションとして”WaveDrum”を購入。本当は2つ並べてバヤとタブラにしたかったのだが、とりあえず1台買ったところで、WaveDrumの販売が終息してしまい、1台でニセタブラ。
これも本当に良い買い物だった。皮を叩いている感じが素晴らしい。デジタルなんだけど、エレクトリックな打楽器の感じ。
シンセでキーボードから演奏するタブラやUduとは違い、指先で細かなフレーズや、腕全体で取るリズムのニュアンスが好き。
やっぱ、叩くものは叩かなきゃダメよ。
SY-200なるエフェクターライクなギターシンセを手に入れる。
専用のセンサーが不要というのが何よりもうれしい。ギターに細工する必要が無いし、専用の太いケーブルを引き回す必要もない。
※GRを使っていた時は良くデジタルの方のケーブルのガリでノイズが出ていたものだ。
GRでうんざりしていたレイテンシーの問題は幾分か解消されている。
音源が「なんだかなぁ」でほぼベースの代用としてしか使っていない。
(オクターバーでしかないような)
それでもこれで出すもこもこベースは大好きで、ベースのニュアンスが良く出せると思っている。
・ルーパー
サンプラーが良いのか、レコーダが良いのか?なんてFantom Xでデジタルレコーディングしようとしていた時にモヤモヤしていたし、DAW(AbletonLive)でフレーズサンプリングのポン出しが面白かった思ひでを元に、ルーパーに手を出してみた。
RC-505を買ってみた。
波形をエディットするという思想は無いが、フレーズを上書きサンプリングしてループすることで音楽を組み立てていくという手法が面白いかなと思った。
V-DrumやWaveDrum、ギターシンセなんかでリアルタイムに演奏することが多くなってきているので、サンプリングネタを予め仕込むというよりは、レコーダでサンプリングするルーパーの手法が良いかなと思った次第。
「思ったほど使わない!」
サンプルベースの音楽で変化を付けるのは難しいし、かといってループに重ねても面白くないし(それなら打ち込みで構成込みで再生した方がよっぽど良い)。
音楽を横で作るならレコーダで流し録りする方が性に合っている。
・・ということで、VS-2400でがっつり録音する用途とは別に、TASCAMの8トラックデジタルMTRを買ってしまったりした。
・オーディオインタフェース(リアルタイムセッションための)
オーディオインタフェースもお買い得な機器だと思う。
Syncroom(ネットデュエット)というリアルタイムセッションが可能なPCソフトウェアがきっかけ。リモートワークがメインになり、夜の時間が出来たことが大きな理由でもあるが。
初めにARTの安価な4chを買ったが、その後YAMAHAのAG06に買い替え。(音はARTの方が良い。AGは音がこもる、ノイズが乗る)
通信を経由してリアルタイムに音楽を奏でられるというのは、大発明だと思う。シーケンサー(自動伴奏)の発明に匹敵する。
これにマルチトラックの録音だとか、電子楽器とのSyncの機能があったら、本当にいつでも誰とでも音楽を制作が可能になる。
・動画ストリーミング
Line入力できる4KビデオカメラZOOM Q8n-4Kも随分良い仕事をしてくれている。
当初は、Youtubeに上げる動画を録画するために買ったのだが、動画配信ソフトOBSとSyncroom、YoutubeLiveを組み合わせて、リアルタイム動画配信が出来るようになった。
ライブの予告をして、時間になったらOBSで配信を開始する。なんともラクチンなライブだこと。
昔ならデモテープを作って、場所を決めて、チラシを配って、友人なりを誘って・・とライブと言えば一仕事だった記憶があるが、今なら、曲をYoutubeにアップしておいて、告知をSNSだとかYoutubeでして、あとはSyncroom、OBSで配信開始。
リアルタイムに視聴している数を把握したり、テキストメッセージのやり取りが出来たり。
つい最近まで、曲をネットに上げるのは、Noteなどのファイル置き場に曲を置いていたのだが、Youtubeで演奏動画を上げる方が反応があって、モチベーションが上がる。
予め録画するなんていうことよりも、リアルに今出す音を直接(偶然に)見てもらうという行為の方が楽しいと感じてしまう今日この頃。
・モジュラーアナログシンセ
…で出音の面白さでアナログシンセ。
neutron、pro-1、MiniBrute2
音色をメモリー出来ないおたんちんばかり買ってしまった後悔は先に立たず。
結局、サンプリングして1音色として使うとか、ルーパーでフレーズごと録音するとか、そういう使い方。
結局のところ、電子ノイズや野太く強烈なベースを、単音、単体でスタンバイさせるという体たらく。
せっかく、すべての操作子や端子が「おいらを触ってくれよ」と、スタンバイしてくれているのに。
音を
「すぐに出せる」
「並んでる」
ことがとても重要。
暫くお蔵入りにしていたKingKORGの出番かもしれない。
・ウェーブテーブルシンセ
とはいえ、やはり面白い音には魅力があるので、グラニュラーシンセシスとかウェーブシーケンス、ベクトルシンセなんかは楽しい。
元はと言えば、学生時代に経験したwavestationやSY-22あたりが原体験で、その後wavestateという神器に出会うのだが。
思えば、MiniNovaはウェーブテーブルシンセに強烈なフィルターを付けて、音色変化を売りにしていたのだが、wavestateの異次元な持続音にはやられた。
wavestateの音をオケで使うことが増え、その後(つい最近)にwavestate SEを手に入れて現在に至る。
Sonicware のTexture Lab.だとかも買ってみた。
時間軸の音の変化というのはとても重要で、音色はミクロに見た音楽そのものかもしれない。
音色1つで世界観を表すような。
(ウェーブシーケンスが4トラックのシーケンサー、レコーダーそのものだったりする)
・最近は
今は、もっぱらMotifXF、MS2000B、MiniNova、wavestateメインのオケに、V-drum、wavedrumのパーカッション、ギターを弾いて、VS-2400で録音するのがお気に入りのスタイル。
打ち込み主体じゃなく、肉体から音楽を作ってるなーって感じ。
打ち込みで徹夜していた頃から比較すると、すっかりアナログオヤジになったものだ。
※デジタルものの操作を覚えるのも面倒くさいし、マニュアルも読まない。
(楽器なんだからマニュアル無しで音を出せるようにしろよ!と無茶を言う)
・次はどこへ?
(いつも思うのだが)今持っているモノで十分、やりたいことが出来る環境に常にある。ので、新しいモノを入手するときってのは、何かに刺激されて「自分もアレをしたい」と思った時。
今後何が来るのか分からないが、”身体から一過性の音を出す”世界や、どこかの誰かの世界とフュージョンする世界なんだろう。
今、SyncroomでPCとインタフェースを経由した音楽を(たまに)しているが、ZOOMのリアルタイムセッションの機械なんかはちょっと気にしているところ。
MIDIデータや音色パラメータなどのデジタル信号が、高速通信でリアルに演奏とマージする通信機器があったら即買いするような気がしている。
非同期の世界線の中で、唯一、今ここでしか存在しない音、音楽への情景
相手が誰だか分からないけども、交わり、演奏し、誰だが分からないが聞いていて、何かを感じる。
素晴らしい体験、素晴らしい世界!
(最後だけ詩人モード)