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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

失敗学のすすめ / 畑村洋太郎

失敗から学ぶための方法
リスク管理とか失敗との付き合い方とか気になっている。
リスクを恐れるあまり冒険しなかったり、マニュアル偏重だったり。
「失敗は成功の母」を科学的に実証した本書という売り文句に期待した。
科学と言えば、類型化とか因果関係(相関関係)とか仮定、検証という話かと勝手に思っているわけであるが、本書に書かれているのはそういうことではない。ケーススタディと言ったほうが適切ではないか。
なぜなら、ここには
・失敗を積み上げて血肉とした立ち上げ時メンバーの経験が薄れるから失敗の芽に気づけない
とか
・マニュアルに記載されたこと以外を禁止するためにモノを考えられない
とか
・合理追求、利益追求の行き過ぎが品質低下(失敗)を誘発する
なんていうことが何のデータも統計もなしに”アプリオリ(?)に”語られ、「良い失敗と悪い失敗がある」なんて欽ちゃんのTV番組みたいなことを言い出しちゃう。

良い失敗は大目に見てあげて経験値を積ませ、悪い失敗には毅然として立ち向かう・・・って現場のマネージャさんは「今目の前にある失敗には、どう対処すればよいのか?」しばらくぽかんとしちゃう。
何が良い失敗で何が悪い失敗であるかはケースによる。判断次第なのだが、その後大事件に発展しちゃったら「あれは悪い判断だった」ってことになるんだろうな。

失敗経験を含み益として評価するってのも、アイディアは「ほほぉ」と思うが、具体的にどうするのか?
ここまで批評めいたことばかりなので、この本で知った”良かったこと”を書く。
・失敗を伝える際には、個人名を入れ、個人的に何を思ってそれをしたかを書く。客観性は不要
・原因追求と責任追及は別であるべきだ(原因追求をする人間は、責任を問われない)

そうそう、失敗と責任っては常に一体であって、失敗したのは当事者(最も末端のいち担当者)に押し付けられたりして、トカゲの尻尾きりになっちゃうケースがほとんどなんだよな。・・でトップは、無罪放免というか、経営的なプレッシャーや遠因については考察されずに、ただTVの前で頭を下げるだけ・・みたいな。CMを打ったり、DM出したり、あと回収・修理のための金勘定か。

部下の失敗をどのように処理すべきかってのも悩むポイントだわな。自分がカバーに入っちゃったらいいのか、最後までやらせたほうが良いのか?そうこうしてるうちに、問題が大きくなっちゃって・・・みたいなこと。マニュアルやべからず集なんかを一通り揃えたって、それ以外の・・ということは、想定しえないことが起こった際の対応ってのが、やっぱりベテランと新人では違うわけで、「はじめからすべて経験するしかないか」って、振り出しに戻っちゃったりんですわ。