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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

ここまで来た「あの世の科学」改訂版/天外伺郎

熊本出張の時KIOSKで購入したネタ本。
「魂、輪廻転生、宇宙のしくみを解明する」とあるが、たかだか600円の本でこれらが解明しちゃったら凄い。(笑)
「神」の正体、そして生命の謎を解き明かす衝撃の書・・・と。まぁ、言ったもん勝ちみたいなノリである。
物理の世界では疑問視されることも多い”超ひも理論”が想定する”プランクスケール”という数学上の限界を、あの世の世界に繋げて妄想したトンデモ本である。
本書で出てくるキーワードを眺めているだけでも”筆者の自由な妄想(無責任な妄想ワールド)”が爆発している。
般若心経、ヴェーダ哲学、ユング集合無意識、ボーム・・・・いかにも権威めいていろんな科学者の論が出てきたり、やたらと引用が多い。
結論が「宇宙は、全体として、ひとつの生命体です。その基本は、無条件の愛であり、また仏性であり、宗教が神や仏と呼ぶ概念と一致します」ときたもんだ。トホホである。
偉大なる漫画家”手塚治虫”の火の鳥でいうところのコスモゾーンですわ。自説を強化するがために、色んな科学者の論を拡張(曲解)して、ぺたぺたとコピーペーストしたような雑記帳。
凄い酷評の仕方ではあるが、本当にこの脱力感はたまらない。
”あの世の科学”でも”幸福の科学”とか・・・科学を語るオカルト(自説の作文)ってなんかずるいなぁ。

仮にプランクスケールと呼ばれる、空間の極小状態にエネルギーや知性が詰まっていたとして、それがアカシックレコードと呼ばれる、全生命のアーカイブだとしてですよ。それに人間の意識が自由にアクセスできたとしましょうよ。(笑)
直交変換(フーリエ変換:時間と空間を周波数の関数に変換する・・みたいなものだと説明されている)でこの世とあの世が変換できるとしましょうよ。誰がその関数を作用させるのか?どんな理由で変換されているのかは知らないけれど・・・。虚数とか実数とかを数学の手続きとして仮定したり、特異点やら真空の揺らぎやら、物理的に仮定してもいいわけですよ。さらに、直交変換されたあの世では、時間と空間の区別がなく、両方の状態変数だとしましょうよ。
・・・で原因と結果がワンパッケージされた状態だから、予知夢や透視が可能だと・・・。
何言ってるんだこの人!
あの世の概念が科学で厳密に定義されている・・・って、科学って仮定と検証の歴史なわけですよ。
検証、再現性が確保されていないものは”科学”とは呼ばないことを度外視しちゃいけませんな。
魂の進化だとか言っているが、時間が関係ないんでしょ?過去も未来もワンパッケージされてて、原因と同時に結果が存在しているなら、この世で魂の進化だ、仏性だの、無償の愛だのって論じても論じなくても同じことでしょ?輪廻もカルマもすべてが混沌とした宇宙の知性として存在しているなら、それは無ですよ!無。まぁ、”空”とか宗教用語を持ち出して、悦に浸るのも一興だけども。「何を言いたいんだろう?結局」ってのが全然分からないのがイライラの原因なんだろうなぁ。
あぁ、くだらない時間を過ごしてしまったよ。>読書