ゴーマニズム宣言の小林よしのりである。
学生時代、SPA,SAPIOなどの雑誌はもちろん、単行本、活字本も買いそろえ読んでいた。
戦争論、台湾論ときて沖縄論である。この人、サヨクとか左翼とか右翼とか・・一人の中に色んな顔がある。
まぁ、一人の人間の中で複数の立場が相克してる状態ってのは正しい気がするが、今回の沖縄論も左翼でもあり右翼でもある。非米(反米だけじゃない)、愛国のメッセージが日本政府に見切りをつけ、古き日のヤマト、琉球王国にまでさかのぼってしまった。
台湾が中国に擦り寄り、日本政府が米国や中国に擦り寄る中、純粋なヤマトンチューやウチナンチューや侍を求めようとすると、どうしても過去の美談にシンパシーを覚えてしまうものだ。
理想主義者小林よしのり、ロマンチスト小林よしのり、正義と真実の人小林よしのりは好きだ。
しかし、力こぶを入れれば入れるほど、現実感から遊離してしまう気がする。
しかも、今は小林よしのりみたいに熱く天下国家や政治、歴史、文化を語ろうとする態度に対して「分からない」「うざい」みたいな感じで”コヴァ”なんていう蔑称があるくらいだから、結構その熱い理想を持続するのは大変だと思っちゃう。
自分が会社でサラリーマンとして、プロフェッショナルたらんと仕事していてですよ、”沖縄の現状”とか”台湾の立国”とか”インドの独立”とか、”東京裁判の不正”とかって、どれだけ現実味があるかっていうことなんですよ。
確かに、国民としてのアイデンティティの物語、爺さんやばあさんの時代の国際的な民族差別との戦いとか、特攻とかって心を揺さぶられるけども、「1票が何かを変えるなんていうファンタジーも信じられねぇよ」っていうニヒリズムってのもかなり深刻な現実なわけですよ。