昨年12月から(退院してから)、Youtubeにドラム演奏動画(いわゆる叩いてみた動画)をアップロードするようになって早4か月。
2022/4/6時点で40本の動画を上げているのだが、様々なクラシック曲をドラムで叩いてみて、色々や発見があったのでメモしておこう。
書き出したら色々うんちくが出てきちゃって、「何言ってんのこいつ!」と思われた方は、下記のYoutubeを聴きながら確認してみてください。本当は、言っていること一つづつに事例として動画のパートを「ここのことだよ」と示せれば良いんでしょうが、面倒くさいので、割愛してます。
「あ、こういうことを言ってんのね」と理解されることと思います。
「お前ごときが偉そうに語るなよ」と言う方は、コメント欄に記載してもらうか(私が気にいらなきゃ非公開か削除にするけど)、ご自身のブログなりで自説を展開していただければ結構です。誹謗中傷的なヤツは不要です。(打たれ弱いので)
M@ppΨ's Classic Music & Rock Drums - YouTube
我思う
・リズム(テンポ、拍)が多彩
クラシックというとドラムなんていう楽器は合わないんじゃないか?と思われる。叩く方としても、元々構成に入っていない楽器がどうやって参加できるんだろう?と思う。確かにロックで良くやるように、定期的な譜割や2,4拍でスネアが入るようなビートは皆無。それどころか、拍をどうとっているのか?とかコロコロと変わるテンポ、ritもあれば、ブレークもある。リズムって曲に合わせて、いくらでも変わっても良いものだということに改めて気づかされる。
・特に6/8や3/4は必須
4/4の方が珍しい位。6/8のリズムパターンの引き出しが全くないことに気が付いた。
ハーフタイムシャッフルというのがTOTOで有名になったやつだが、過密ツーバスで濃淡をつけるというのが自分流の発見。
バロック音楽ではほとんど6/8や3/4じゃないかと思えるし、ソナタ構成なら一か所は6/8、3/4のパートが出てくる。歌劇なんかもほぼ6/8のみしか叩かせてもらえないと思った方が良い。
スネアを1拍めに置くのか、2拍めに置くのか、3拍めに置くのか。
それとも、3拍めと2拍めを組み合わせるのか。答えは、ヴァイオリンや他の楽器の音の動き(高い音の部分にアクセント)が教えてくれる。
・ビートの濃淡をバスドラの過密で表現する
クラシックでベースと言えば、コントラバスやチェロが担当するのがが、これまた良く動く。ロックベースのようにルート音で基本リズムを刻んでいるということがない。チェロなどは装飾音もたくさん弾くので、長音で伸ばすところと、装飾音もバスドラムでシンクロしてやるといい感じ。(装飾音をあえてスルーして、直後の音符にアクセントをつけるのもまた良い感じ)
・休符がビートを生み出す
ツーバスするなら音を抜く
パワーメタル系の踏みっぱなしツーバスは音圧のためだけで、実はなんのビートにもなっていない(激しさの表現にはなっているかも)。1音だけ抜く、4つ抜く、スネアと重なるところに入れない。
これだけでビートが多彩に、立体的になり、変化が生まれる。
曲調が変化する前のブレーク
曲調が変化する前に、仕切り直しで一拍ブレークを入れると、次の一音のインパクトが変わる。(「は!」っとする、身構える)
次のフラムとか連打と関連。
・フラムを多用する
スネアで拍を止める、プチブレークとしてフラムを多用する。
スネアの拍をアクセントする意味よりも、ライドやハイハットのビートを止める役割の方がメインかも。
・1小節、2小節の単位でスネアを連打して緊張させる
スネアの連打も効果的、2小節ブチ抜きでスネアを連打された日にゃ、早く解放されたい気持ちが高まってきて、通常のビートに戻ったときの解放感もひとしお。
スネアを緊張と緩和に使うのはとても良いようだ。
・管楽器のキメフレーズはスネアドラムでアクセント
管楽器とスネアドラムは相性バツグン。連打で緊張感を持続する効果なのかも。
・Tuttiはシンバルやタムでシンクロ
みんなで合わせるTutti部分は、ドラムも大いにアクセントを付ける。
Tuttiなんてのを最近知ったんだが、フレーズを合わせるユニゾンではなく、強拍を合わせるのがTuttiと理解。(意味は全奏らしい。Soloの対義語。オルガンでは全部のオルガンを同時に鳴らす強拍。Tuttiボタンというのもあるらしい)
・ヴァイオリンが舞っている時はドラムも細かな音符を入れる
バイオリンの決めフレーズにドラムも追従すると、バトル感が出て良い。ツインギターの掛け合いにドラムも参入するような気持ちで。さりげなく、バスドラムやハイハットの刻みで「あ、音として出ちゃいました?(自分もそのフレーズに参加してますよ)」程度が粋。
・コーラスや木管楽器が厳かにしている時はライドシンバルでリズムキープだけ
静寂が求められているところは無理やり割り込まないほうが良い。ライドの4つ打ちでクールにいくか、ハイハットを細かく刻んで濃淡をつけるか。水彩画の上に印象的な点を書き込むイメージで。
・スネアの連打を厭わない。思いっ切り、歯切れよく。
スネアをどれだけ勇気を持って叩けるかが大事。そのためには曲のダイナミクスがどこにあるのかを知っていないと、踏み切れない。
曲の構成や構造を理解すること。(大体いつも理解していないくせに、偉そうに;;)
・シンバルもバンバン叩く。まるでハイハットオープンの代わりのように
指揮者が自分に対してアクセントを付けろと指示しているイメージで。自分が叩きたいんじゃなく、曲が求めているからシンバルを鳴らす。思いっきり、躊躇なく。
・全く入らないのも、音数が極端に少ないのも大事。
ビートが止まっている表現には無音が一番と知る。Largoでは無理やり入れなくても良い。
曲の導入部が正にそれ。他の楽器が和声を重ねてきたときに、それとなく入り、あら?いつの間にかビートになってましたが正解。
タイプ別攻略法
・伴奏がチェンバロの場合(バロック)
チェンバロのフレーズは、ハイハットと相性が良い。まるでチェンバロのフレーズをハイハットで叩いているかのように、シンクロすると恰好良い。
三連や32音符など装飾しまくっても嫌な感じにならず、かつテクニカル。
・伴奏がオルガンの場合(バロック)
オルガンはバスドラムとかフロアタムが良い感じ。荘厳に響いて欲しいので、自分がオルガンのフットペダルにでもなったつもりで。結果的に、トライバルビートっぽくなるが、恐らく、オルガンという楽器も、(教会という閉空間内での)音圧で聴衆を圧倒させるための仕掛けなので、ボンボン音圧を出してボディを見舞ってやれば良い・・と思う。
・伴奏がストリングスの場合(弦楽全般)
低音パートをツーバスでシンクロ、ビオラとのシンクロはハイタムで、セカンドバイオリンやヴィオラは内声や1stバイオリンの追従が多いので、恐らくタムのオカズになるかと思う。
・コーラル/無伴奏の場合(声楽全般)
思い切って叩かないか、ごくシンプルなリズムキープ、もしくはリズムマシンに徹する。エニグマ方式。1小節ごとにブレークを入れて、息も絶え絶え感を醸し出すもGood。
べからず集
・跳ねるとダサい
シャッフルや妙なグルーブはダサい。自分は通底低音だと先に書いたが、ドラムが跳ねると地震災害レベルの悪影響を曲全体に及ぼすと自覚すべし。跳ねて良いのは、メロディ楽器、特にソロ楽器に限られる。気を持たせるような付点(シンコペーション)や三連系のフィルインや、妙なグルーブも求められていない。
クラシックはヨーロッパの伝統芸能であり、肉体的な(筋肉の生み出す)グルーブは求めていない、ハーモニーや音符の組み合わせの妙で、数学的に構築されているもの。
ゆえに、シャッフルや非対称なグルーブや、トリッキーな仕掛けは迷惑。
稀にスリップビート的に帳尻を合わせる必要にかられるが、それは例外。
・バトルを仕掛けるな
ロックならアイデンティティですらあるような、調和を乱すような行動(我目立とう!ギターとバトルしよう、ベースに仕掛けよう、スティックをぶん回してやろうというような自己顕示欲ギラギラのプレイ)やアピールは不要。
大体、誰がバトルに応じるというのか。(全部演奏すべきことは譜面に書いてる音楽で)
構築された作品の一部に、何か貢献する、色を添えるプレイが美徳。
控えめに言っても「自分はこういう解釈をしました」と添えるようなプレイ。
他のパートを聴かずして、不要な仕掛けをするなという暗黙の了解。