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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

ブランド vs ローコスト

3階建て注文住宅で有名ブランドの住宅とローコストの住宅を比較している。
同じ仕様を事細かに提示し、同じ土俵で比較できるように工夫しているわけだが、
凄いことが起こるものだ。
700万円~1000万円も差が出てくる。外構費の有無や、ベランダを坪単価に含む・含まないなんていう違いではなく、単純に建物価格のみで比較した場合の差だ。
間取りはこちらで指定、床暖房、食器洗い乾燥機、浴室乾燥、ペアガラスだのオール電化だの、メンテナンスフリーなフローリング、外壁...etc。オプション扱いにされそうな部分も全部指定した。
「なんでこうも違うんだろ」
「見せてもらおうか!性能の違いとやらをー!」
某木質系パネル工法の会社は、競合としてローコスト系メーカーと同じ土俵に乗せられていることに不愉快そうな顔をしながら、こんなことを言った
「ローコスト系が売っているのは、商品であって、家ではない」
「国が認可した工法で作られていないから、ちょっとこちらのグループ(一般の工務店とかフランチャイズ)とは比較にならない」
(彼らとは別モノだということか)
「家を値段では決めないとおっしゃるお客様でも、500万円の違いが出ると、そちら(ローコスト)に流れてしまう」と
また、別の木質パネル工法の会社は
「(ローコスト系と比較すると)500万円の単位で違ってくると思います。」
「500万円違ったらすぐに(当社は)検討から外れますか?」
ときたもんだ。
ぽっかーん・・・呆れる

同じ間取りで、当方の希望する住宅をいくらで建てられますか?と問うているのだ。
500万、1000万もの差が出たら、即検討から外れて当たり前。死刑宣告だ。
もし、その分、法外な利益が乗っているとか、競合した場合の値引き額として、元から乗っけているのりしろなのだとしたら、即座に500万円を値引きすべきだ。そうじゃないと同じ土俵には乗れないよ。

今回やり取りしている木質パネル工法会社の例ではないが、競合がいる場合には、200万、300万と段階的に総額500万円程度まで値下げして、契約を迫り、顧客が価格交渉しない場合は、そのまま懐に入れてしまうというスタイルの商談をしているという話を聞いた。(どこの会社とは言わない。元営業担当から聞いた単なる与太話だから)
しかし、もし本当ならばひどい話である。懐具合や商談状況でいくらでも建物価格が変わってしまう。こんな体質がある業界を信じるわけにはいかないではないか。

500万の価値を、この人達は正確に認識しているのだろうか?
500万円をローンで組むことを考えた場合に、金利でいくら余計に払うことになるのか?や
500万ではなくて、50万であっても、家以外の世界なら、何が買えるのか分かっているのだろうか?大型のTV、気に入りのソファ、買いたくても買えなかった電子楽器、全部買えちゃうし、旅行好きな人なら海外旅行が出来る金額だ。

あぁ、5万10万のコストダウンを真剣に考えてくれる業者と出会いたい。
借金絡みの話になると、とたんに興奮してくる。うん、自分でもよく分かってる勘弁して欲しい。
交通事故による死亡者よりも、自殺者の方が多い。
<完全な蛇足>
自殺者の年齢構成は、よく言われているような子供、青年ではなく、中高年(60歳以上が多いといわれている)だ。
自殺の原因は、うつ、病気の次に多重ローン返済。ローン自体は、生活資金のちょっとした不足分だと言われているが、その奥に隠れているのは、実は住宅ローン返済だと思う。
うつが原因だと言ったって、介護疲れもあるだろうが、ローン問題が原因かもしれないし、もしかするとリストラかもしれないが、リストラが脅威に感じられるのはローンがあるからかもしれない。
そう!少しでも安い住宅を提供できることが、どれだけの自殺者を救えるのかを考えた方が良い。
痛ましい話ではないか。
住宅購入が人生の目標のようになってしまい、自分の20年、35年の時間をローン返済に捧げ、挙句にちょっと人生で不測の事態が発生してしまったが最後、死ぬしかなくなるのである。(死ねばローンは返さなくてもいいとか、保険金で返済できるかもしれないっていう意味ね。)
<話は戻る>
その長い長い挿入部がありーので、「500万の単位で違ってくると検討から外れますか?」「500万の違いが出るとローコストメーカーに流れてしまう」だ。
頭に来る。こういう無頓着さに。
500万の違いは、工法の違いだの、耐震性能の違いだの、断熱性能だのの違いを吹き飛ばすに充分なパワーを秘めている。
だって、実際に(今現在想定されているような)東海大地震が起きたときに、命が助かることを保証してくれる代物でもないし、立替コストが大幅に少なくなることを保証してくれるわけでもない、断熱性能の違いで、この差額を打ち消すだけの省エネ効果があるとは思えない。デザイナーの渾身のデザイン?一級建築士とか丁寧な技術者のヒアリング?営業担当者の気の利いたフォロー?
何の差額なんだろう。
ローコスト系メーカーが売っているのは、安心な住宅ではないとしたら、何だと言うんだろう?
知名度=安心と称して高額な坪単価で商談に臨んでくる会社は、適正な価格で住宅を提供できているんだろうか?
「日本の住宅は高すぎる(適正価格ではない)」
「家賃相当のお金で家を持てるようにすべきだ」
とローコスト住宅会社。素晴らしい挑戦だと思う。
一般的(大多数の)な日本人の購買能力に焦点を当て、その値段で提供できる住宅を提案していく。
高値を維持して、「ローンでも何でも組んで、家を持てよ。貧乏人ども」というような高みから見下ろしているようなベンダーは淘汰されればいいのに。言い過ぎか

歴史のある家作りのプロフェッショナルが、近年のローコストの新規参入者に嫌悪を感じる気持ちは少し分かる。(ローコスト系の中にはゴロツキというか、コストダウンのためには、してはいけないことをしてしまう悪徳もいるだろうから)
しかし、住宅の適正価格に挑戦しようとしているローコスト系と呼ばれるメーカーにシンパシーを覚えている私なのである。

※結局、ローコスト系の会社が建築棟数を伸ばしているっていう事実があるとおり、既存のブランドが苦しんでるって事なんだろう。苦しそうだもんな、「彼らが売っているのは住宅ではなくて、商品だ」っていうくだり。だって、商品じゃん。長期間の保証だとかサポートだとかのサービスの部分も見てよ!って言いたいならそういう表現に改めた方がいいと思うのである。
次回あったときにこの辺の疑問をぶつけてみよう。嫌がるだろうな。