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不条理なコスト負担

生活習慣病予防”なんていう怪しげな恐喝が国の主導で行われ始めた。
メタボリックシンドロームと呼ばれる不健康予備軍が、成人男性の1/3。たいそうなことだ。将来の医療費負担を減らすため、早いうちに手を打ちましょうという目的だと言う。
患者(国民)のためではなく、国家の支出の話だ。くだらない。
本当に、国民の将来のためを思ってなら、素晴らしいアイディアだが、なぜ”怪しげな恐喝”に感じてしまうのか?
それは、
「不安を与えて、不安を解消するためにコストがかかり、そのコストは、最終的に不安を与えたものへの報酬になっている」という構造が透けて見えるからだ。
これが、普通の医療費負担なら分かる。
虫歯を治しました。外科で治療を受けました。内科で治療を受けました。国民健康保険で7割負担します。皆さんは3割負担でお願いします。
それならいいのである。従来はそうだった。
しかし、今後は、違う。
健康診断で生活習慣病予防のための検診を受けます。”予防のため”がミソ。
めでたく生活習慣病の疑いが指摘されます。
不安になって精密検査を受診します。
結果、何でもないことが分かるが、高額な検査費は返ってきません。
元々なかったはずの不安を解消するためだけに、無駄な費用を使いましたという話なのだ。
なんせ、予防だから、「疑われる」という言い方が許されてしまう。
確定的に、「あなたはコレコレという病気です」「だからココをこう治します」では無い。

でも、それって・・・・
勝手に占いを告げられ、不安を与えられ、不安解消のために印鑑やら壺を買わされるのと何が違うのだろう?
あなたのためを思って、あなたの家族を思ってと詭弁を吐くだろうが、誤診と詐欺の違いって何だろう?予防医学と占いの違いって何だろう?
今回無駄になった自己負担4500円(腹部の輪切り写真を得るための費用だ)は、そんな不条理なコスト負担のほんの一部なのである。
以下は、ここ最近に健康診断の結果、サラリーマンの財布の直撃した恐喝事例。

■不安商売による恐喝事例
・尿酸値が高いです。将来通風の恐れがあります。大の大人が泣いて痛がるほどの病気、それが通風です。怖いですねぇ、今なら何とかなります。
・悪玉コレステロールが多すぎます。あなた普段運動や食事制限をしていませんね。
(なかなか変えられないから、生活習慣なんだよ!)
心臓や脳の血管が詰まってしまうと何が起こるかわかりますか?大変なことになりますよ。
・おや、腹部X線で異常があります。胃潰瘍の恐れがありますから、精密検査を受診してください。胃カメラを飲むことになりました。ちょっと患者さんにお金掛かりますけど、しょうがないですね。あ、胃潰瘍根でしたね。現在は、自然治癒してますから問題ないです。
・おや、超音波で腹部の映像がおかしいですよ。脂肪肝と脾腫ですね。精密検査を受診してください。えぇ、今度は腹部のCTを撮ります。
あ、問題ないですね。脾腫は言いすぎですね。前に診断された方は、脾臓の大きさだけで判断したようです。目の大きい小さいのようなもので、体格が良い方は、脾臓が大きいこともありますからね。えぇ、今回は大丈夫です。CTの個人負担は4500円です。

馬鹿野郎。何が生活習慣病予防だ。しっかり新しいマーケットが出来ちゃってるじゃないか。

不安を与えれば金が得られる。
本質的には恐喝。これ商売の原則。

不安を与えられ、解消のために金と時間を使い、安心を得る。
行かなきゃいいんだ病院に。どんなに脅されても。でもそんなに不安耐性が無いんだな。
医者の与える不安って、占いの比じゃないんだ。信頼しちゃってるから。
畜生。悔しいけど、確実な商売だよ。良く出来てる。