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1リットルの涙 / 木藤亜也

1リットルの涙〜難病と闘い続ける少女 亜也の日記〜
を読んだ。
ラブストーリーを織り交ぜて脚色されたTVドラマ版”1リットルの涙”と異なり、
素朴な言葉でリアルに語られる闘病日記。
体の自由が奪われていく恐れ、焦燥、怒り、悲しみ、周りへの感謝、期待、落胆。
決して美しすぎない分、生の言葉の方がよりリアルな感情の襞を感じる。
だから、TVドラマでは感情に身を任せて涙を出すだけで済んだのだが、原作ではそうはいかない。泣けるところがたくさんある。だけど重い。
何かを考えざるを得ない。自分の意見を確認せざるを得ない。

「障害は不幸ではない、不便なだけだ」という言葉が出てくる。
分かる、頭では。
でも障害者への接し方は、自分にとって難しい。安っぽい慰めや同情が、彼らを傷つけやしないか、身体障害者と言っても、そういうことに怒る人、怒らない人がいて、自然に振舞うと言ったって、それは自らの身に置き換えた時の恐れや、忌避の感情であって、愛情たっぷりに全てを受容したり、身を挺して何かを提供することではない。
普通に親切にする。
健常者に対してでさえ、出来ていないことが身体障害者に対して、ぱっとできるわけでもない。
この本を読んで自分が感じたことは、強く生きることでも、生への執着でも、他人へのやさしさでもなかった。
ハンディキャップに対してどのような態度をとるのが正しいのかということ。
結局、多くの人間がそうであるように、傍観者でいることしかできそうにない。
そして、結局答えは出ない。