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会社員の父から息子へ/勢古浩爾

ちくま新書の新刊コーナーに”勢古浩爾”の文字が
退職を機に、父から子へ(読者へ)のメッセージ
・・と言ってしまうとありきたりであるが、自分の死(息子たちとの別れ)を意識したときに、父の口から発せられる言葉は、父の一生を表現したものだ。息子たちが今後経験する人生への福音だ。
この本は、人生訓を装った”普通人哲学”の金字塔だ。
まえがきと最終章の最後で、不覚にも泣いた。

わたしは父親としてほとんどなにもいわなかった。ほとんどなにもできなかった。しかし「父」の心としていつも願っている。どうか、雄々しく、やさしく、強く生きていってほしい。ふたたびいうが、惜しみなく働き、惜しみなく愛し、惜しみなく生きていってもらいたい。きみたちは、わたしの「意味」そのものだ。わたしはまだ生きている。でもいつかは訣れる。

自分が(今は亡き)父親から聞きたかった言葉なのかもしれないと思った。
まえがきで、ほとんど筆者が言いたいことが凝縮されているのではないか。言い尽くされているのではないか。
本編は、ほとんどが、「アホに振り回されるな、決意して普通に生き抜け」と言っているように思う。
過酷な普通だ。歴史上の聖人に近いかもしれん。
正しく生きるとはこういうことなんだろうなぁと思った。