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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

汝みずからを笑え/土屋賢二

2006/11/14 文庫版を中古で購入
2006/12/17 読了

全体的に、これまでの著作に比べていまいち笑いの冴えが無い本作である。
”笑いで乗り切る人間関係”ではシリアスに笑いの効能を説く。
”合理的疑い”では、珍しく哲学的な、疑うこと、信じることをテーマに、結構まじめに論じている。
この、”合理的疑い”を読んでからというもの、よく土屋氏の著作で出てくる宗教家の一言「根拠が無いからこそ信じる」という言葉は、ひょっとして結構深いのではないかと思えてきた。
何故か?
根拠があることについては、信じる/信じないの領域ではなく、理解する/理解しないの範疇の話であるから、信条として信じる/信じないの領域ではない。科学の領域と宗教の領域の違いだと思えば良い。
科学は信じる信じないに関係なく、客観的に永続して存在することを相手にするが、それ以外の領域であるという理由だけで、信じるに値する。(信じないことも出来る)
「根拠が無いからこそ信じる(ことが出来る)」というのは、宗教的な一言なのではないかと、ふと感じたわけである。

まえがき
・文書の書き方
・編集者からの電話
・百年後に開けるタイムカプセルに何を入れるか
不忍池の思い出
・英語公用語論では手ぬるい
・下にもおかぬもてなし
・日本の夫のジレンマ
・遺書-友人の娘Z子様
・叱られて
・ここ五百万年をふりかえって
・ダカツのように
・買い物に失敗しなくなるまで
・大学に何が期待できるか
・老人を尊敬すべき七つの理由
・オランウータンの疑い
・私の弱点
・人を見たら泥棒と思え
・男の理想と現実
・わたしには関係のない病気
・死は簡単なものではない
・ユーモアエッセイの読み方
・変身してもらいたい
・こうすれば景気はよくなる・・・たぶん
・取材を終えて
・新入社員に贈る一冊
・中年女が最高
・一日三つの発見
・世界最強への道
・哲学の授業風景
・初めて食べた日
・いい大学・悪い大学
・危険な一言
・笑いで乗り切る人間関係
柴門ふみに反省を求める
・採点の筋力増強効果
・何度もたどった経路
・欠点を克服する方法
・中年男をめぐる誤解
・理想からほど遠いスピーチ
・私の防寒法
・ユーモアエッセイと哲学論文の違い
・教え子の本を紹介する
・合理的疑い
・わたしが愛した名探偵
・心なごむ場所

初出一覧
解説 土屋先生の実像 助手(匿名希望)