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戦艦大和復元プロジェクト/戸高一成(呉海事歴史科学館館長)

軍艦が華々しく海を滑っていた時代の頂上。戦艦大和である。
悲劇の戦艦として今も小説や歴史モノの主役として書かれることの多い、日本人の魂(ほんとか?)
仕事で呉海事博物館のリニューアル提案に関係したことがある。
古い写真の高精細デジタルデータ化や、3Dモデル化、古い図面の整理と検索システム・・・みたいな内容だった。
そんなこんなで、非常に身近に感じているのである。
戦艦大和復元プロジェクト”は、26メートルもの1/10のモデルを作るというもの。このとき、「模型ではなく、小さい大和を作る」と意気込んだのだという。
天晴れではないか!
じっくり読もう。そして(たぶん)熱いコメントを追記することになるはずだ。
以下、読後のコメント

基本的には1/10大和を製作するに当たって、苦労した点や”戦艦大和学(笑)”の新しい発見などの比較的”濃い”情報が多い。
しかし、戦艦大和復元のための調査に応じたのが、”戦争経験者”であったり、”実際に大和を見た人”、”三菱重工長崎の設計者”、”現在も船体を作っている人”であったりして、その人たちの思いを聴けることが楽しい。
”明治以降の60年で世界一の主砲を持つ巨大艦”を作った過去の日本人と”戦後60年で敗戦期を駆け抜け、新幹線を張り巡らせ、自動車でトップに立ち、電子機器で世界を圧巻した日本人”に共通点を見出さずにはいられない。→向かった先は片や軍事の戦争、片や経済戦争

また、大和に対する軍人のメンタリティーに触れられたことは貴重。
「武蔵と大和が残っていればまだまだ戦える」「武蔵が沈み、その横を通ったときには敗戦を実感した」などの痛々しいながらも感動的な思い込みは強烈に心に突き刺さる。
敗戦間近で”大和特攻を生み出した空気”の原因は誰にあったのか?なぜ無謀な作戦を許可したのか?は天皇の言葉を含めて生々しい証言があり貴重。
(無謀な作戦に反対していたが)「一億玉砕のさきがけとなって欲しい」の言葉で「分かりました」と応えてしまうのも凄い。
凄い覚悟だと思う。(賛美するわけではないけど、今自分の心のありようと比較して”完全に負けている”って思います)

この本を見て、1/10の大和と、当時の海軍工廠の資料を見てみたいと本気で思った。
呉海事歴史科学館に絶対行くぞ!

・・ってWebを見てたらこんなのも発見しました。ただ一言”面白い”。
確かに、館長あいさつの”大和博物館を通して、平和への誓い”云々のニュアンスは、完全に嘘だわなぁ。
「日本人はこんな凄い戦艦を生み出した。ただし、使い方が間違っていたので悲劇で終わってしまった」
「戦争は悲劇でしかないが、生み出された戦艦や技術には罪が無い。」といった、本書に書かれているような主張をストレートにぶつけてみたらいいのに(笑)←靖国みたいに国際問題化したいマスコミや政党が多数?

おっと。1/10大和が出演(?)している映画が12月に公開だって
男たちの大和/東映で反町、中村獅童だって・・・ずいぶん若者向けなフィーリングなんですね。大和にまつわるウェットな物語をまともに見せてくれるんでしょうか?