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長期優良住宅

長期優良住宅の普及の促進に関する法律が、2009/6/4に施行された。
長期優良住宅とは?に書いてあるのが分かりやすい。
読売オンラインに書かれている数世代住み継ぐ 長期優良住宅には、「建築費は、基準に満たない一般的な住宅より1〜2割高くなる。」との記載がある。まぁ、それを笠に着て、高いことの理由に悪用(隠蔽)されちゃうと困るんだけど、要するに性能のハードルが高い分は、価格に乗っちゃいますわなってこと。
だけど、大手住宅メーカの場合は、すでに長期優良住宅仕様が適用されていて、価格の大幅なUPはないでしょうとの意見もある。すでに織り込み済だよってことだね。
それから、これは長期優良住宅の要件とは別なんだけど、ローコスト系住宅メーカーが採用していない(であろう)材料のこと→国土交通大臣認定不燃材料とは
なるほど、材料のひとつひとつまでに認可されたものを使っているかどうか?ですな。
確かに大事っちゃ大事だね。

しかし、しかしですねぇ
長期優良住宅って誰のためのもの?っていうところを、ちょっと考えた方が良いと思うのですよ。
ひろゆき風)

■タマホームが長期優良住宅
タマホームの長期優良住宅
面白いことになってきたね。

■長期優良住宅って誰のため?
・耐震性を高めて、もしもの時に倒壊しないようにしましょう
(ほんとは、中にいる人が死なないことを保証して欲しいが)
・ヒートショックなんかのお年寄りの体に優しい住宅
・断熱性を高めて日々の暮らしをエコにシフトしましょう ←エコ=エコノミー。not エコロジー 
この辺までは分かりますよ。
今、そこに暮らしている人に対する安全性を確保する話だから

・躯体が100年持ちますと、200年持ちますと
・その建物のスペックや補修履歴を、長期に渡って管理しますよと。
この辺から段々怪しくなる
100年、200年経った家に、誰か住みたいと思うのだろうか?息子?息子の子供?
3世代に渡って住まう家。彼らは彼らで新築に住みたいのではなかろうか?材料が劣化した中古住宅ではなくて。

・資産価値が上がります
本当かね、30年で価値がなくなってしまう建物に、ちょっと構造的な強化や断熱性を高める工夫をしたからって、100年,200年も価値を持続できるとはとても思えない。

・税制で優遇処置があります
これも相当に怪しい。景気刺激の目的(住宅購入のてこ入れしたいから)か、税収の安定確保か、色々と優遇処置だとかいって、背中を押したいだけじゃないのか?
その証拠に、固定資産税の優遇処置ははじめの5年だけだし、ローン借り入れ額の拡大や、控除額だって、高コストな優良住宅の割高感を少しでも低くしようっていう算段にしか見えない。

・住宅関連のCO2排出量を削減することで地球温暖化に貢献
・フロー型からストック型へ(中古住宅市場の活況を後押し)
30年で立て壊す家に使われている建材。割り箸以上だという。確かに勿体無い。
30年で立て替える家を、100年躯体がもつように作ったら、廃棄される木材が減ると踏んでいるらしい。
本当かいな。100年住宅が30年で壊されないような楽天的な予想は、誰がたてたんだろう?
それでなくても、今度大きな地震が来たら、やれCO2削減だのといってられないような木材が必要になるんじゃないのか。
(全然信じていないんだけど)100年もつ躯体の家を作ることで、CO2排出量や地球温暖化に貢献したとして、木材の廃棄に伴うCO2増加のために、自分がコストを掛けて、優良住宅を購入するなんて、アホらしい。
土木建築、建設国家である日本が、先の見えない不景気に陥っていて、景気浮上策を政治家が探していて、大きな政府のための財源を霞ヶ関が求めていて、長期優良住宅関連の法律が、ドタバタと政治主導で動いているあたりにも、なんか利権が蠢いているんじゃないか?とか思っちゃうんだよな。

どう?このネガティブな世界観。
我ながら感心するよ。(ウツな感じ)


■中期優良住宅を!

長期でなくてもいい。自分と自分の子供が住んでいる間くらいは、もって欲しい。近い将来に想定される地震(震度6以上)でも、自分と妻、母、子の命を守って欲しい。
火が出た場合でも、逃げるための十分な時間が確保されていて欲しい。
家がつぶれた場合でも、リスタート可能な、数百万円の費用程度の壊れ方であって欲しい。
20-30年は暮らすことになるので、その間の光熱費が安価になるよう、構造から考えたい。
日々の安らかな眠りを保証するために、遮音性能にはこだわりたい。
せいぜい60年間もてばよいのではなかろうか?
一般的に言われる、高性能住宅で上記を十分にクリアできていると思う。
国にでしゃばってもらわなくても、200年住宅だなんていう無茶を言わなくても、リアルなところで、ローコストな住宅を供給してくれるのが一番良いことだ。

200年、自分の子孫が、この家で住み続けることを想像するなんて、江戸時代か!徳川か!

※大体、サッシの寿命が35年で、断熱改修工事を行う必要があるらしいじゃないか。

■やっぱり詐欺じゃね?
躯体だけ100年-200年で、断熱性、気密性に大いに関係があるサッシの寿命が35年。その他電気設備関係は20年もすれば壊れるし、最高級の性能を持つ外壁だって30年が寿命だ。
安心が欲しい世の中だからこそ、誰もが聞きたい言葉「200年住宅」その言い換えである「長期優良住宅」
理想は良い。語っても。
ただ、現在認可を受けた業者(大手プレハブメーカー?)が、他との差別化のために、国からのお墨付きを悪用し、メリットを喧伝するのは詐欺に近いと思う。
高度にモジュール化された高気密、高断熱の住宅を、地元ビルダーがメーカー問わずメンテナンスできるなら、100年、200年住宅という標準を目指しても良い。
でも、実際には、例えばメーカー製のプレハブで作られた家は、その材料を供給できるのがそのメーカーでしかないし、地場のビルダーが勝手に穴を開けたり、裁断したりして、気密性、断熱性が損なわれてしまったらユーザの不利益だ。一方、メーカーが100-200年存続することを保証するならそれでも構わないが、誰がこのご時勢に、つぶれない会社であることを保証できるものか。
やっぱり、詐欺的なんだよな。長期優良住宅。

■参考リンク
鵜野日出男の今週の本音2009
国土交通省 ホーム >> 政策・仕事 >> 住宅・建築
国土交通省 ホーム >> 政策・仕事 >> 住宅・建築 >> 住宅 >> 長期優良住宅法関連情報
ホームズ君.com

今回のエントリーとは直接関係ないが、国土交通省が出している平成20年度住宅市場動向調査(PDFリンク)が住宅取得に係る様々な統計数字が挙げられていて結構参考になる。

※鵜野日出男さんのblogを見ると、200年住宅が官製偽装にあたり、大手プレハブメーカーのご機嫌取りであることが書かれています。「やっぱりそうなのか」