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エンタープライズサーチの売り文句ってどうなの?

アットマークITに"イントラネットの夜明けエンタープライズサーチ"という記事があった。
業界からのスローガンなので、少し差し引いて判断する必要があると思うが、以下の主張は、なかなか挑発的で魅力的である。

エンタープライズサーチの必要性を説得するデータとして
80%程度のデータが構造化されていない。
社内情報の検索に勤務時間の30%程度費やしている。
そのうち、3.5時間/週は、結果的に求めている情報が見つからない。
ドキュメントの85%は2度と参照されない。

80%のデータが構造化されていない(非定型文書だ)というのは、良く言われていることだ。20%程度の”本当に構造化して管理すべき重要な情報”はすでに、RDBMSで管理されているという捉え方をしても、大きく間違ってはいないだろう。80%の非定型情報(メールやワープロデータ、紙資料)の中にはお宝が詰まっている”かもしれない”。しかしパレートの法則でいえば、20%の情報によって80%の業務が行われているなら、20%の価値しかないかもしれないものに、どれだけお金をかけられる?
突っ込むとすれば、80%の構造化されていないデータというのは、二度と参照されない85%と”重なっている”のではないだろうか?そして、それらの情報が”参照されるべき”とは、言い切れない。
SOX法とかメール監査、アーカイブが必要とされる場面っていうのは、そうそう多くないと推測する。

次に、勤務時間の30%は言いすぎだ。
日報を1時間単位で付けて、正味作業、非付加価値作業、無駄の分類で調べたり、設計、開発、テスト、書類作成・・などの工程で集計した時には、非付加価値時間と無駄をあわせて20-30%、逆に言えば正味作業は最大でも80%にしかならない。
提案業務に割く時間が9%程度とか、設計は正味作業の1割程度とか・・・そういう目で見た場合に、ファイル検索に20-30%というのは明らかに言いすぎなのである。
だって、非付加価値時間や無駄と分類した20-30%の全部がモノ探しである可能性はゼロだし、80%にカウントされている正味作業とは、顧客から費用をもらって実施している業務=開発であるからだ。本当にピュアな開発をしている最中は、検索なんて一切使わない。開発環境で表示させているソースコードとずっとにらめっこ、たまに技術的な内容を調査するためにGoogleで検索するくらいだ。
「20-30%は検索時間・・・一般論としていえることではない」というのが自分の率直な感想。
「週に3.5時間は欲しい情報が見つからなかったロスタイム”という点は、控えめな数字で、リアルかもしれない。
続いてドキュメントの85%は二度と参照されない・・は、「そんなもんだろうな」と思う。
本当に良く参照する文書は、デスクトップに散らかったアイコンを見れば良く分かるが、10種類以内だと思う。これまたパレートの法則流に言えば、「20%の書類を使って、業務の80%をこなしている」ってなところか。
総括すれば、上記の売り文句は、週3.5時間の”探し物が見つからない”を改善するために、いくらのコストをかけられるのだろう?という部分が最も本質的な問いなのでは・・ということ。
一人につき3.5時間のロスと言えば、全勤務時間から見て約9%だ。結構でかい。本当かな?この数字
3.5時間も無駄に使ってる?