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電子楽器、音楽、コンピュータ、プログラミング、雑感。面倒くさいオヤジの独り言

 マグダレンの祈り 

1960年代アイルランド修道院を舞台とした、実話を元にした映画。
カトリック教会が規定する”性的な乱れ”により、監獄さながらの禁欲生活を受ける主人公たち。
辱めを受け、毎日の労働をこなすうち、内部の堕落を発見した主人公はとうとう脱走を試みる。
案外楽々に脱走の場面を迎えるのだが、ラストの脱走の場面は本当に最期の30分にも満たない。ここまでは修道院の過酷な生活の描写がほとんどで、結構重苦しく、見ていても辛いものがある。
このDVD、特典としてドキュメンタリーがついてるんだけど、セックスや肉体のことを考えるだけで殺人と同等の大罪で、社会や教会から”堕落”として烙印を押される恐怖。疑いがあるだけで修道院行き。アイルランドでは、何万人もの女性が修道院に監禁されていたというのだから呆れる。
1996年に最期の修道院が閉鎖されるまで続いていたというのが凄い。
絶対権力の堕落は、いつの時代でもどんな組織でも内部からの崩壊を誘発する。
美しいケルト民謡を聞かせるこの国のモラルが、こんな監獄の堕落神父達の手に委ねられていた時代が最近まで続いていたことが痛々しい。

こういうのを見ると、「政教分離の原則って正解なの?」って思っちゃう。
政治も経済も宗教も相互に干渉(監視)しあわなければいけない、いや、分離されているから、片方から逃げてきた人を受け入れられる環境が用意されていることになるのか?・・なんて硬いこと考えちゃったりもする。