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伝統、継承、慣習、神話、ルールの腐臭(脳内ディベート)②現代の音楽

伝統、継承、慣習、神話、ルールにまつわる一人脳内ディベート

我ながら反骨な(天邪鬼な?)ロックな文章になった。

他人の影響力に潰されないよう、若者たち、初学者、学ぶもの、押しつぶされそうな者に向けたエールかもしれない。(偉そうに)


以下、言葉の意味から確認

・伝統:

伝統(でんとう)は、信仰、風習、制度、思想、学問、芸術などの様々な分野において、古くからの仕来り・様式・傾向、血筋、などの有形無形の系統を受け伝えることをいう。

・継承:

「仕事や財産などを受け継ぐこと」を意味する言葉です

・慣習:

一定状況において個人が繰り返す特定の行動様式が習慣といわれるが、これに対して一社会に広く繰り返し行われる習慣的行動様式が慣習である。

・神話:

人類が認識する自然物や自然現象、または民族や文化・文明などさまざまな事象を、世界が始まった時代における神など超自然的・形而上的な存在や、文化、英雄などとむすびつけた一回限りの出来事として説明する物語であり、諸事象の起源 や存在理由を語る説話でもある 。このような性質から、神話が述べる出来事などは、不可侵であり規範として従わなければならないものとして意義づけられている 

・ルール:

規則(きそく、ルールとも言う)とは、人の従うべき準則であり、主に文章によって規定されたものをいう。


おおよそ、この記事では、言葉を上記の意味で使っています。

神話 > 伝統 > 慣習 > 継承 > ルール(習慣、規則)

概念の大きさ、時系列からするとこんな感じで並ぶのかな。


過去に素晴らしい偉人がいました、その行動様式や生き様を学び、伝えるフォロワーが現れ、やがてその流派のルール(不文律)となる。多くの人間がたくさんの時間を費やして継承していくことにより、より上位の概念は更に強固になっていく。

 

============== まえがき 終わり ===============


■(良く知らないが)ジャズの世界←Syncroomのジャズ部屋限定

Syncroomというオンラインセッションの場で、圧倒的に数が多く、上手いとされるプレイヤーが多く、そしてどこよりも排他的なジャンルとしてジャズ部屋というのがある。

Syncroomに限って言えば、ジャズも伝統化(アーカイヴ)されていると感じる。

ルートしか弾けないベースは要らない、オルガンの左手と同じベースを弾くな、このスケールを使うな、上級者以外ダメ、アドリブ禁止、黒本云々

完全にマウントの世界。排他的で、頑固で、高圧的。


自分がジャズと認識していたのが、キングクリムゾンの即興パートだったり、おおたか静流バンドだったり、坂本龍一氏がやっているアヴァンギャルドな曲だったりするので、「ジャズってなんでもありで、自由で、楽しい音楽(そして、そのプレイヤーもジャンル横断で凄い人ばかり)」というものだったので、Syncroomのジャズ部屋の排他性はとても違和感があるというか、違和感しかない。

ジャズやブルースの発祥だって、アンダーグラウンドだったり、反骨だったり、嘆きだったり、音の実験だったり、生きる術だったりしたと思うんだが。

どうやら”共通の正解がある”音楽になってしまったようだ。

トラディショナルとか、不変、普遍ってそういうことか、詰まらないな。

色々なバックグラウンドのある人たちが、ある時に交錯して、自分のバックグラウンドを披露しあったり、盛り上がったりする・・・そんな音楽だと(勝手に)思っていた。


Syncroomのジャズ部屋、心配だよ。(そこだけの現象ならいいんだけど)


■メタルの伝統化に思うこと

ヘヴィメタルだってそうだ、例えばジューダスプリースト、アイアンメイデンが伝統にランクイン。最近はメタリカも伝統なのかな。

パンク全盛となり、ハードロックが”オールドウェイブ”だなんて言われてバカにされ、NWOBHMを旗揚げしてたくさんのフォロワーを生んで、”伝統”や”神話”になった。

メタルかメタルじゃないか?という議論には、必ずNWOBHMを継承しているかといった話題が出て、まるで”新しい要素は悪”と言わんばかりの偏狭なジャッジが下る。

某メタル専門誌の偏見なんてひどいものだ。腐臭が漂うとさえ思う。

メタルの世界では、オリジネータはオリジネータとして尊敬しながらも、自分なりの音をどれだけ作り上げられるか、周知させられるかにベクトルが向いているような気がするのでまだ良いと思うが。

メタリカ、ええやん。イングヴェイマルムスティーンええやん。BABYMETAL(KOBA-METAL)ええやん。パンテラ凄いね、KORNも凄い。クリエイティブだと思う。

メタルがこれだけ変節、バリエーション豊富なジャンルになっているのは、物凄く正しいと思う。


■いわゆる神格化(アーカイヴ)されたロック

ビートルズ、ローリングストーンズ、レッドツェッペリン、ディープパープルその他ブルース、ジャズ・・・過去に偉大とされる熱狂を巻き起こしたアーティストには、必ず神話があり、エピソードがいちいち神格化される。

演奏者として影響を受けたというよりは、リスナーとして、自分の思い出と共に、大事に脳内アーカイブされる。自分の思い出なので、傷をつけられたくないし、悪く言われたくない。

「だって、ビートルズストーンズはお前さんの思い出だけのものじゃないし、人の数だけビートルズストーンズへの思いがあるんだよ」という当たり前の事実を見て見ぬふり。

ジョンはどうのこうの、ポールはどうのこうの。

「分かったよ!お大事に。」


リスナーから飛び出して、自ら演奏し、ビートルズらしさ、ビートルズの良さを体現するミュージシャン達を自分は尊敬する。間違っても劣化コピーではない、オリジネイター達。


YMOの神格化に思うこと

YMOだって40年以上が経過してたくさんのフォロワーやチルドレンが出てきて、YMOに影響されたたくさんのアーティストが、その体験や受けた影響を口にする。

(自分もその一人なのだが)Youtubeを見ると、当時の機材やヴァーチャルシンセなどを使って、YMOのどこそこのライブ演奏を再現した・・なんていって「おお、凄い、細かなニュアンスまで再現されている」と称賛の嵐。残されているオリジナルYMOの音源を聴きなおしてりゃいいのに。

ましてや、自分が自分の解釈で演奏したのではなく、コンピュータに演奏させているだけなのだ。

「あの天才YMOの演奏を、私はPCで再現できましたよ、凄いでしょう」

もしくは

「私はあのシンセを熟知しているよ。この出音どうだい?聞いても分からないでしょ」だ。

YMOの場合、継承はされている。神格化もされているし、神話もある。

でも、YMOが78年に出てきた時、その音楽だけではなく、テクノロジーの大胆な導入や、音楽の実験、メディアコントロール、世界中の音楽のエッセンスを詰め込んだ前衛性、コスプレ・・様々な仕掛けがあった。

今、YMOをコピー、演奏している人たちは、YMOを継承しているか?

否だと思う。(自分も含め)

別に継承しなくても良いし、継承しても良い。おしゃれなジャズみたいにアレンジしたYMOの演奏でも良い。マニアだけ集まるライブハウスで思い出を語っても良い。

でも、YMOの神話を語ることで、自らのブランド価値みたいに使うのだけはやめた方が良い。

YMOが当時も今も凄いのは、いつも呼吸をして、最新のアップデートされた姿を提示し続けているところ。一時期社会現象ともなったピコピコ音楽(いわゆるライディーンテクノポリス)を誰よりも嫌悪し、「誰でも同じことができるようになった」と自分達はさっさと、BGM、テクノデリックで最新のエレクトロニクス音楽を提示し、初期のファンを落胆させ(たらしい)、「お前ら結局こういうのが好きなんだろ?」と浮気なぼくらや歌謡曲への歌曲提供。散会後は、エスニックやクラシック、ハウス、エレクトロニカ・・・。本当に尊敬する。


「私はYMOのここに影響を受けた、私はこうした」をたくさんの人が継承し、広がっていけば良いと思う。


まりんがマニアを自任し、電気グルーヴというグループで自らのテクノ愛を披露しながら、最後METAFIVE※としてYMOのメンバーと共演するに至った一途な姿は、物凄くかっこいいし、感動する。

※METAFIVEで聴く音は、どう聴いてもYMOで、かつ現在の音楽。見事に破を体現していると思う。

 

プログレッシブロックに思うこと

・評論家達

プログレのマニアもかなり偏屈(批評家)が揃っていると思われる。

キングクリムゾンのアーカイブ音源の大量なこと。これだけ世界中に買う人がいるってことだ。何年のどこそこの誰誰が素晴らしい。これ、演奏が素晴らしいとかじゃなくて、「こんなことまで識別して聞いている俺ってすごいだろ?」とマウントを取っているとしか思えない。執着。

プログレッシブロックがそんなに好きなら、自分が楽器を練習して演奏して、その素晴らしさを広めてくれればいいのに。

プログレが「好き!」と言われながらも、後世の音楽にそれだけ広まっていない(ように見える)のは、プログレファンと呼ばれる評論家達が、自分達の音楽として継承して来なかったからだ。

クラシックと世界観が近いのか、音じゃなく、言葉で流通する音楽ってまともじゃない。歴史や文学の一部みたいな。「音楽を語るな、奏でろ!空気を振動させろ!」と声を中にして言いたい。

プログレを語る本を買って読んだことがあるが、若干腐臭がした。やはり、音として感じたことを文字で語っても伝わらないし、クリムゾンを知りたいならStarlessなど実際の音楽を聴いて、自分が感じた印象を大事に育てた方が良い。(いついつのどこどこの演奏でロバートフリップがどうのこうの・・という知識は不要)

 


プログレの今

プログレは、クラシック音楽、ジャズをロックに持ち込むことで成立したと言われているが、実はムーグやメロトロンという当時最新鋭の楽器が特色となって、受け入れられていったという側面も大きいと思う。テクノというジャンルが電子楽器の進化と密接に関係しているのと同じように、やはりプログレッシブロックプログレッシブの大きな部分に楽器の進化があると思う。

今、プログレをやっているのは、キングクリムゾンを別として、ナインインチネイルズかアディエマスか、はたまたイングヴェイドリームシアターなどのメタル勢か、シンフォニックメタルなんていうジャンルもあるようだ。これなんか、クラシックを導入したロックの最も純度の濃いところだ。

ロバートフリップがヌーヴォメタルなんて言い出した時は「さすがだな」と思った。

当時、極端な音(人に嫌われがちな音、扱わないテーマ)を出していたのがスラッシュメタルだったから。一時代を築き上げ、ジャンルそのものの始祖になった男が、反骨の若者たちが生み出したメタルの、最も極端なスタイル”スラッシュメタル”を採用して”俺がやっているのは(ヌーヴォ)メタルだ”っていうんだから、「叶わんな、このおじちゃんには」と思う。


プログレ評論家達は、現在のプログレをどのように評価するのか、興味がある。

プログレ好きを語るミュージシャンは、必ず自分でも演奏しているし、自分の作品にも色を濃く反映する。あれはプログレじゃない、これはプログレと評論している人は、実は音楽を何も生み出してはいない。文字を生成して、同じ穴のムジナの消費を刺激しているだけ。


「”その人が何を言ったかではなく、その人が何を行動したか”を見る」という言葉が好きだ。


■腐臭の原因

固化、普遍、定着、拘り、執着

モノが古くなると(主に酸化)、硬くなったり、有機物の場合は細菌が繁殖して異臭を放ったりする。人の脳や行動もそうなのかな。固い、臭い。

変わり続けるものは腐っていないし生きてる。流れ続ける水は腐らない。

変わることを拒んだ音楽は悪臭(腐臭)を放つ。

ロックンローラーは”転がり続けろ”と言った、トヨタも変化を恐れるなと言う。

未来に向かって生きる若者と、過去に生きる年寄り。

 

=================== 想定反論 ==================

・ロックもジャズもクラシックもあらゆる音楽が、真似るから入るではいか?それは学ぶ、守なのではないか。

・どの段階の音楽であろうと、レベル差、段階、習熟度というものがあるではないか

・マウントと表現しているのは、他者への態度であることと、上位の者が下位のものとのレベル差を誇示している面もあるのではないか

・音楽の楽しみ方は人それぞれ、聞く専門もいれば、楽器を楽しく人もいて、文字で表現したい人もいる。皆、一様に音楽が好きで、広めたり、共有したいと思っている気持ちは同じだから、許容すれば良いのではないか

・あなたこそ、YMOやクラシックやプログレ、ロック、ジャズを文字で語っているではないか?音楽で示せば良いのでは?

・結局、先人をリスペクトし、日々精進し、発展させよ(守破離)のことを言っているのではないか

 

・・・うん、その通りです。

みんなで音楽を盛り上げようぜ!それぞれに楽しもうぜ!

 

いよいよ、結論